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「……ん？あ、これ」
ロレッタは合間の時間に、この言語を探していた。が、それは思っていたよりもあっさりと見つかったのだ。
それは気まぐれに開いた人間界学の冊子に書いてあった。人間界に存在するジャパンという国の話。その国の文化の説明に記載されていた写真。ハイクという短い歌の記された紙の写真であったが、その言語に、先日見たあの言語が混じっていたのだ。
「ジャパン語？え、でもどうしてジャパン語なんです？」
「私に聞かれても困るよ」
図書館のガリオンに分かった事を伝えるも、ガリオンは不思議そうな顔をしていた。
それも当然だろう。英語どころかゲルマン語派ですらない、縁もゆかりもない遠い国の言葉なんて、どんなありがたい意味があったとしても娘への贈り物であるアミュレットに使うものだろうか？
ロレッタがうーむと唸るのを見て、ガリオンはとりあえず意味を調べてみませんか、と言う。
「ジャパン語の辞書ってどこにあるか知りません？」
「ああ、語学の本は確か……」
語学の本のまとめられた本棚の前に行き、手分けをしてジャパン語の辞書を探す。
先に見つけたのはロレッタの方だった。ガリオンに声をかけて、席に戻る。
「ジャパン語は五十もアルファベットがあるんですか？」
「アルファベットというか、文字だね。……待って。ヒラガナとカンジっていう二種類の文字があって……五十なのはヒラガナで、カンジはもっと多い……千以上ある？」
「噓でしょ。その中から探すっていうんです？」
ガリオンは露骨に嫌そうな顔をして、大袈裟に頭を抱えてみせた。ロレッタは辞書を開いてみる。
辞書にはカンジは載っていなかった。学生向けに簡単になっているのだろうか。流石に千文字以上あるカンジを調べたくはなかったロレッタは少し嬉しかった。
「辞書にはカンジはないみたいだね。やっぱり難しいからかな」
「良かったぁ」
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