巻き戻し. ページ9
・
朝練があるので、着替えた後、
体育館へと行き、扉を開け、挨拶をする。
『あ、倫太郎〜!』
するとそこには、
亡くなったはずのAがいた。
Aは俺を見るなり、
俺の名前を呼び、こちらに近付いてくる。
『倫太郎〜、
はよせぇへんと北さんに怒られるで!』
やっぱり、時が巻き戻っているんだ。
ということは、今日は3回目の9月1日になる。
そして今日の放課後、Aは事故に遭って…
でも、どうすればいいんだろうか。
分かれ道で別れても別れなくても、
Aは亡くなってしまった。
どうすれば…
俺は、
Aが生きているという安心感と共に、
またAが死んでしまうのではないか
という不安で胸がいっぱいになった。
「角名、どないしたん?」
体育館の入り口で立ち尽くす俺の後ろから、
治が顔を出した。
ごめん、考え事してた。
と治に言って、俺は体育館の中へと入る。
…あれ?この前もこんな事言った気がする。
.
あれから朝練を終え、教室に向かった。
案の定、この前と同じように、
授業変更があった。
それに、治やクラスメイトにも、
今日の角名はいつもと違うと言われた。
やっぱり、時が巻き戻っているんだな。
この事は俺しか知らないのだろうか。
少し心細い気もするが、
Aを救うためなら仕方がない。
しばらく時間が経過し、部活の時間になる。
Aをどうやって救おうか。
分かれ道を別れるのも、別れないのもダメ。
部活帰りに、車に轢かれてしまう。
…待てよ。
あの時間に行かなければ良いのでは?
1回目も2回目も、
事故に遭った時間は変わらないはずだ。
だとしたら、
どこかで時間を潰して、帰る時間をずらせば…
「これで、部活は終わるが、
今さっき、不審者情報が入ってきよった。」
部活が終わり、
黒須監督から話があるらしいので、
監督の元へと集まった。
そして、
部員全員に対して黒須監督が話し始めた。
「住宅街の方で、
刃物を持った男が歩いとるらしいから、
帰る時は気ぃ付けて帰るように。」
.
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:NO NAME | 作成日時:2021年3月7日 10時