彼女は、死にました。【角名倫太郎】 (ページ12)

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やめたい. ページ12

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俺は、結局Aを救う事が出来なかった。

1回目も2回目も3回目も…
俺は、何度もAを死なせた。

Aが死ぬと分かっていながら、
助けられなかった。

俺がもっとしっかりしていれば、
助かったかもしれないのに。

それに、3回目の9月1日は、
内容が変わっていた。

俺がAを救えなかったせいで…

そういえば、
刃物を持った人はどうなったのだろうか。

A以外にも、
犠牲になってしまった人はいるのだろうか。

そうだとしたら、
俺は多大な迷惑をかけてしまった。

俺がAを助ける権利なんてあるのか？

ただ、俺はAの事が好きで、
好きな人が自分の目の前で死ぬのが嫌だから…

でも、Aは俺の事なんか
どうも思っていないかもしれない。

俺なんか…

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ、ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ…

無機質なアラーム音が部屋中に響き渡る。

気づけば俺は、
自分の部屋のベッドに寝ていて、
外を見れば、空は明るくなっていた。

俺は、重たい体を起こし、
アラーム音を止めようと、スマホを取った。

＿9月1日。

スマホの画面にはそう日付が表示されていた。

また、時が巻き戻っている。

＿4回目の9月1日。

もう、来なくていい。
もう二度と9月1日を繰り返さないでほしい。

なんで、
俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ。

もう、やめたい。
誰でもいいから、助けてくれ。

そんな思いは、
誰の耳にも届くことなく消えていった。

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