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「ん、これからよろしくな。…俺を選んだこと、絶対後悔させねぇから」
いつもより些か優しい声色のような気がして、下げていた顔を上げると、今まで見たいことないような優しい顔をしていた
『…ありがとう、すっごく嬉しいよ』
その顔を見ていたら、私自身もつられて、自然と笑顔で返すことが出来た
場地くんは、「後悔なんてさせない」なんて言ったけど、後悔なんてするはずないよ
だって場地くんのこと、ずっと好きだったんだから
ありがとう、私を好きになってくれて
ありがとう、私を選んでくれて
ふと外を見てみると、いつの間にか雨が上がっていた
「…雨上がったな」
『うん、上がったね』
いつもより少しぎこちない会話だったが、おもむろに場地くんは立ち上がり、私の方を見ながら
「…そろそろ帰るか。家まで送る」
『うん、ありがとう』
彼の隣に並んだ瞬間、何か手に触れたなと思っていると、次の瞬間、私の右手と彼の左手が、所謂恋人繋ぎという繋ぎ方をしていた
唐突すぎて固まってしまった私をみて
「…悪ぃ、嫌だったか?」なんて、少し困ったような顔をしながら彼は言ったが、
『ううん、嫌じゃないよ。ちょっとビックリしただけ』と言うと、「そっか」と言いながら嬉しそうにしていたのを、私は見逃さなかった
本当に場地くんの彼女になったんだな…と繋がれた右手を見て、私は漸く実感した
そして、テンションがいくらか上がっていた私は、その勢いのまま
『場地くん!!その…好き、です』
と言ってしまった
言われた本人は目を丸くさせて、驚いていたけど、すぐに嬉しそうに笑って
「…ん。俺も、Aのこと、好きだ」
と返してくれた
その顔を見た瞬間、雨の日はあんまり好きじゃなかったけど、今日だけはちょっと好きになったかも、なんて
始まり(相手:場地さん、同級生)→←雨(相手:場地さん、同級生)
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作者名:愛@14時間後の麺はパスタ | 作成日時:2023年1月30日 1時