【APヘタリア】ドラゴンテイル【ウェ兄】 (ページ26)

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25話ページ26

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日曜日、オフィス街にある少し大きい教会前の噴水で彼と待ち合わせをした。少し早めに来たつもりだったけれど、仕事の時と同じように彼は私よりも早く来ていた。ちょうどお昼をまわった頃、本来の待ち合わせ時間より20分早い。噴水横のベンチに腰掛けて本を読む彼は、老紳士のようにも好青年のようにも見える。

「すみません、お待たせしました」
「ううん、いい天気だったから早めに来て散歩してたんだぁ。……ふふ、いつものスーツも良いけど、ワンピースも似合うよ」

流れるような褒め言葉。彼はいつものロングコートにシャツ、淡い色のセーター、そしてリボンタイ。いつもはネクタイなのに、プライベートではリボンタイをつけるなんて。
(なんか、可愛い)
ぼんやりそんなことを考えていると、彼は行こっか、と手を差し出した。

仕事の時とは違って、今日は重くもなければパソコンが入るほど大きいカバンでもない。むしろ財布や携帯、軽い化粧直しができる程度の化粧品とハンカチーフしか入らないような小さなハンドカバンである。私がカバンを渡すか迷っていると、彼が慌てたように言う。

「も、もしかして、イマドキのエスコートでは女の子に手を差し出さないの？馬車でもないし、道も整備されてるし、俺が支える必要なんてないのかな？ないか！ここまでどうやって歩いてきたんだって感じだよね！ごめんね、恥ずかしいっ！」

両手で赤くなった顔を覆い隠して私に目を向ける彼。女の子の扱いや、デートに慣れていると思いきやそんなことはないようで、彼の意外な面に笑ってしまう。

「意外です、あんまりデートとかしないんですね」
「俺ってどういうふうに見られてるの？ ……俺、女王陛下とか貴族の御令嬢のエスコートしかしたことないよ……」

カッコつかない様子で彼は肩を落とす。それでもさりげなく車道側を歩いたり、スリから守ってくれたりとこなれているようで、きっとこれは彼が気遣い上手なだけなのだろう。彼が予約したと言う店までの間、天使は1人も通らなかった。

高級感溢れるホテルのアフタヌーンティーを予約してくれた彼。扉を押さえてくれたり手椅子を引いてくれたり、コートを預かってくれたり。至れり尽くせりのレディファースト。一張羅とまでは行かないけれど上品なワンピースを着てきたおかげで、店内で浮くことはなかった。