【APヘタリア】フォアローゼズに溺れたい【スコ兄】

23杯 ページ23

*Aside




クラブに行ったの。剥がれたあとそのままにしておいたタトゥーシールを貼り直して、薄くなっていったメイクも濃くなって、二日酔いなんて気にせずにテキーラを飲んで馬鹿騒ぎをしようって思って。やっぱり私はお酒と煙草が好きで、きっとドラッグ好き。ジャズなんかより汚らしい下品なHIPHOPが好き。タトゥーもピアスも好き。

疎遠になった友達と久しぶりに話した。彼女たちはみんなドラッグ漬けになっていた。露出の多い服、きっと彼は好きじゃない。
(たぶん私も好きじゃない)
頭に鳴り響く雷のような音楽から逃れて、バルコニーのようになってる場所で久しぶりに煙草を吸った。

毎日彼からメールが来ていた。一日一通、マメなもので。私はそれに返事をすることは無かった、それでも毎日そのメールを見て安心していた。
(やってること、まるでキープみたい)
会いたいとは思ってるし、話したいとも思ってる。でも彼になんて言えばいいのか分からない。

このまま付き合いを続けて行くとして、その先に何があるって言うの。別れるとして、私の彼を思う気持ちはどう捨てればいいの。ぼやっとゆらぐ視界、もう二度とクラブなんて来るもんか。

私が今日ここに来たのは一種の自傷行為だ。

煙草も安い酒も、うるさいクラブでドラッグ漬けの人たちと踊りあかすのも、全部自分を傷つけるためなんだろう。彼は私を『不安定で危なっかしい』と言ったけれど、今になってその言葉の意味がわかったような気がした。私は私を好きじゃない。だからこそ自分の寿命を縮めるような生き方をする。自分で自分を殺す勇気なんてなくて、痛いこともしたくないから。そうやって長い時間をかけて私は私を殺そうとしている。

吐いた煙は上へ上へとのぼっていく。私の視線は下の道路へ向かう。俯瞰。彼と距離を置いて1週間と4日が経った。案外経っていないようで、最後に会ったのはもう随分と昔のことのように感じる。上で揺れる煙が彼のアホ毛のようで、それすらも愛しく感じてしまって。ふと思いたって、私は電話をする。

「もしもし、お母さん？」

こちらは深夜、日本は夕方頃。こんな私に金銭的な援助を惜しまない両親には感謝している。それでもあまり連絡をしなかったのは時差と、申し訳なさのせいだ。

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