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22杯 ページ22

*スコットランドside




初めて会った時、彼女は覚えていないだろうけど、彼女は大騒ぎをしながら酒を飲む男たちに怯えていた。虚勢を張るように精一杯ワルぶっている彼女を、助けたい、そんな綺麗な感情ではないけれど守りたいと思った。ダサいことしてんなよ、なんていう言葉は男たちに向けた言葉であり彼女に向けた言葉であり、俺自身に向けた言葉だった。成り行きで一緒に飲んだ酒も、強い言葉を使うけれど美味しいと目を輝かせる彼女があまりに愛しかった。

彼女は出会った頃から不安定で、危なっかしかった。素直で影響されやすくて、真っ白な羽を持った天使が悪魔の真似事をしているような。愛されることに慣れていないような彼女は俺が何かをするとすぐ照れて顔を背けて、いじらしい。

「ねえ、私たち話し合うことがあるでしょ、スコットランドさん」

スコ兄なんて呼び名を気に入っていた訳では無い、いつか言わなければならないとは思っていた。しかし、彼女からそれを切り出されるとは思わなかった。俺をじっと見つめる彼女の瞳の焦点は合わなくて、安いアルコールの匂いが彼女をどれだけ悩ませたのかを物語っているようだ。

彼女の吐露に、俺は何を言えばいいのか分からなかった。何千年も生きて、恋人ができたのも決して初めてという訳では無い。

「遊びなわけあるか、俺だって本気だ。愛してる。……正体を隠してたのは悪かった。……いつか言おうとは思っていたんだ……」

非科学的な俺の存在を、彼女が受け入れてくれるか。そんな小さなことを気にして俺は彼女をここまで追い詰めてしまったのだろう。落ち着くようにと差し出した手も、彼女に振り払われてしまった。俺は情けない酷い顔をしているだろう。

「俺たち、ここで終わりなのか……?」

俺がそう聞くと、彼女は掠れた声で『わからない』と呟いた。生気のない瞳からハラハラと零れる雫も、力なく垂れ下がった口角も、彼女と俺の心中を表すように乱れた髪も、暗いままの部屋も、全て俺が彼女をこうしてしまったのだろう。

どうして俺が彼女を引き止められようか。彼女を傷つけて、それでもなお彼女のそばにいたいなどと思うのはどれほど傲慢なことか。俺は彼女の頭にそっとキスを落として言う。

「俺が出たら鍵は閉めろよ。……連絡は、くれたらすぐにでも会いに来るからな」

俺は立ち上がって彼女の家を出る。無常に響く鍵の音。泣きたいのは彼女の方だと言うのに、自身への怒りが涙へ変わって外へと出ていく。

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おず(プロフ) - おしゃち!さん» コメントありがとうございます💕最後までご愛読頂いた上にそのように言っていただけて嬉しい限りです、ありがとうございます!これからも精進して参ります! (2月25日 11時) (レス) id: 0e6497002e (このIDを非表示/違反報告)
おしゃち! - 完結おめでとうございます!出会いによって人生が変わっていくドラマチックなストーリー、毎話ドキドキしながら読ませて頂きました。ラストの回収が見事過ぎて言葉が出ません🥲︎素敵な作品をありがとうございました!! (2月24日 1時) (レス) id: cebb1c38ee (このIDを非表示/違反報告)
おず(プロフ) - メイベルさん» コメントありがとうございます!一緒にスコ兄の底なし沼にハマりましょう!!アーサーの方も読んでくださりありがとうございます、更新もラストスパート切りましたので頑張ります!お付き合いいただけると幸いです😍 (2月22日 12時) (レス) id: 0e6497002e (このIDを非表示/違反報告)
メイベル - コメント失礼します!!大人っぽい雰囲気最高です!!元々好きでしたがもっとスコ兄に沼りました!アーサーの方の小説もとてもキュンキュンして読みました🥰お身体に気をつけて更新頑張ってください! (2月22日 0時) (レス) id: 40a9933e11 (このIDを非表示/違反報告)
おず(プロフ) - ononon245さん» コメントありがとうございます!以前のもの読んでくださったようで嬉しいです、ありがとうございます🥰スコ兄ということで大人っぽさ全開で書いてみています!楽しんでいただけると幸いです🥰 (2月9日 23時) (レス) id: 0e6497002e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おず | 作者ホームページ:無い。  
作成日時:2024年2月7日 15時

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