【第5人格】恋空模様【短編集】 (ページ11)

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約束ページ11

「どうして‥.アイツは僕の大事なものを沢山奪っていくの…？僕は…またアイツに大切なものを奪われたの…？」

ポツポツと大粒の雨が彼女の頬に落ちる

彼女の出ていた試合は皮肉にも僕から全てを奪った憎きピエロだった

僕の居場所を奪い、僕達のステージを壊した

あの犯人だったのだ

僕はもう二度と返ってこない問いかけを彼女に投げかけた

「どうしてっ…どうしてAが死ななきゃいけないのさっ…！！」

「ピアソン先輩なんて放っておいたらよかっただろっ…ノーワンもついてたのにっ…なんでっ…！！」

「なんで、そんな無茶までして助けたのさ…っ……」

もう届かない声を荒らげ、彼女の肩を揺さぶる

──知っていた、彼女がお人好しな事も。誰かを犠牲に生き残る事に罪悪感を覚えていた事も。救える命があるなら救おうとすることも。

それでも、約束だけは守る人だった

だからこそ、僕は信じていた
試合が終わればまた話せると、また笑い合えると

「絶対帰ってくるって、約束したのにｯ……」

そんな僕のか細くも悲痛な声はその場で消えていく

『ごめんねマイク……約束したのに…』

どこからか風に揺られ呟かれた泣きそうな声は

彼女の冷たくなった身体抱きしめ

絶えず振り続ける大粒の雨と共に

フィールドに響く、僕の泣き叫ぶ声によってかき消された