＂空白＂を持たない世界《テニプリ》 (ページ1)

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プロローグページ1

＊

瞼が重い。

＿嗚呼、昨日は泣き腫らしたんだっけ。

『ん、んん…』

時計を見ると、もう七時半。

…学校に、遅刻する。
そう私に言い聞かせて、重い身体ごと起き上がる。

朝食を、作らなきゃ…

私が＂当番＂だった事を思い出し、早歩きでキッチンに向かった。
でも、そこにはもう冷めた味噌汁とご飯が置いてあるだけ。
机には、置き手紙。

＂A、遅刻するなよ＂

たったそれだけのこと。

わざわざ書く必要があるのか？
と思いながらも、じんわりと心が暖かくなるのを感じた。
そう言えば、もう＂皆＂はいない。
私が一番最後らしい。

私は皆の布団を上げ、冷めた味噌汁とご飯を食べて、学校に行く支度をなるべく急いでした。

八時。
ギリギリだった。

『…行ってきます』

誰もいない部屋に向かって言う。
それでも返事は当たり前に返ってこない。

私は鍵を閉めて、家を出た。

・

『…おはよ』

「あ、おはよう！」

「はよー」

友達に挨拶し、席につく。
思いの外早く着けた。

まぁ、ラッキーだな。
そう思い、教科書などを漁る。
すると、

「おっはよう！」

『……』

後ろから肩を叩かれた。

相手は見ずとも分かる。
前の友達もニヤニヤしているし。
私は、後ろを嫌々振り返った。

『…おはよう』

「おう！」

そいつの名前は桃城武。
このクラス一のムードメーカー的な存在。
私は対極な存在だった、だから、

『何でわざわざ話しかけるの…』

「え、ダメか？」

『そうは言ってないけど…』

不思議な人。

それで、終わり。

そして、目の前の桃城は何かを思い出したように言う。

「そう言えば、もうすぐ入学式だな！」

…あぁ、そっか。

バシッ!

「いって～！」

『当たり前の事言ってないで、席に座って』

この人、バカだった。

＊