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ガラスのコップを持って、にこにこ〜って笑うAちゃんの一体どこらへんがおしゃれなのかわかんなかったけど、可愛いからオールオッケー。この写真、俺の宝物にしよ。「待ってね、今私も写真撮ってあげるから」ってケータイのカメラを向けられても、全然大丈夫。ほんとは二人で撮りたいだけだから。
「俺ね、昔写真好きじゃなかった」
「うそ!?やだごめん…」
「ううんそうじゃないよ。今は好き!」
「よかった!今日は記念だから撮っとこう」
「うんじゃあ二人でとっとこ」
 写真好きじゃなかったのは本当だ。だいたい仲間外れだったから。
 ピースしてるAちゃんはかわいい。この二人で撮った写真も俺の宝物。「さとりちゃんてすっごく楽しそうに笑うよね」
「え?ええ〜…テレル」
「私いつもね、いーって感じで笑えないの。写真に写れない…」
「うそ。見せて?」
「いー!」
「あははは」

 きみは俺を妖怪みたいだとおもう?

「良い笑顔だったよ」
「ちょっとばかにした?」
「俺がAちゃんのことばかにするわけないじゃん」
「あ、絶対馬鹿にしたことある口ぶりだ。私わかるんだからね」

 ほんとうに?俺のことわかるの?

「俺のことわかるの?」
また口をついて出た。思ったことがすぐ口から出る。きみの前だともう少しくらい考えてから言葉を紡ぎたいけど、なかなか直らない。俺が直そうとしてないだけだからかもだけど。でも、そうやって俺が少しでも思考するような言葉を、普通の会話としてくれるAちゃんと話すのは楽しい。
「さとりちゃんはわかりやすいよ。わりと!」
「Aちゃんは、Aちゃんは今、俺が何考えてると思う?」

 俺がなに考えてるか、わかってくれる?

わかってほしい。俺は、きみにほんのすこし、俺という人間を理解されたい。この子はとびきり優しいから、俺はほんの少しだけでいいから受け入れられたい。だけどこの子は俺の、少しの願い、もとい欲望が詰まった眼差しを真の意味で受け入れてはくれない。
「クリームソーダ美味しいなあ!ね、Aちゃん。ってかんじかな」

 はいはずれ!全然違うよ!

「え!!間違ってた!?」

 ううん。正解。
 きみの答えは何も間違ってない。

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作者名:あゆむ | 作成日時:2020年8月9日 22時

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