六話 ページ6
『(大丈夫、気を失ってるだけだ…)』
センラさんはぐったりとしているものの、骨が折れたり、痛みがある様子はない。
変に動かさない方が良さそうだ。
身体をそっと地面に寝かせ、自分の上着をかけておく。
向こうで燃え盛る炎は、先程よりも若干小さくなっている気がした。
…まだ調整出来ないんだ。坂田さん、感覚派だから。
『行かなきゃ…今度は坂田さんまで…‼』
私は炎が燃え盛る中庭の方へと駆け出した。
*
中庭まで来ると、熱風が頬を叩いてくる。
燃え盛る炎に、今にも焼かれそうだ。
少し離れた場所では、坂田さんの炎を志麻さんが巧みに避けている。
しかし魔力を多く出しすぎたのか、坂田さんの炎は段々小さくなってきていた。
志麻さんもそれを見越してか、余裕そうに微笑んでいる。
『何か、何か私に出来ること…』
このまま魔力が無くなれば、間違いなく接近戦に持ち込まれる。
身体能力の低い坂田さんになら、もし疲れていたとしても志麻さんにとって楽勝なはず。
そうなる前に、なんとしてでも志麻さんを倒さなければ…!!
ふと、視界の端に消化器が入ってくる。
『そうだ、これを使えば…‼』
*
坂「くっそ!何で当たらへんねん…!」
志「(こいつの魔力が切れんのもそろそろやな。危ない危ない…)」
わざと擦れ擦れに避けて無駄打ちを誘う罠に、まんまと引っかかっている坂田。
志麻の制服は所々焦げてはいるが、直接当たった様子は見当たらない。
そして、自身の魔力切れにようやく気がついた坂田は、動揺して攻撃を疎かにしてしまった。
その隙を見逃さなかった志麻は一気に距離を縮めようと駆け出す。
しかし一歩踏み出した途端プシューと音がして、突然目の前が真っ白に包まれた。
志「何やこれ、霧?(…にしては変な匂いやな)」
嫌な予感がした志麻は急いで後退し、霧の中から抜け出す。
直後パチパチッという音が聞こえたかと思えば、目の前の霧が赤く光って爆発した。
勢いよく吹き飛ばされた彼は慌てて受け身を取ろうとするが、
志「(間に合わっ…!!)」
間に合わず思いっきり背中を壁にぶつけてしまっう。
ふらふらと立ち上がったは良いものの、すぐにへたり込んでしまう様子。
センラと戦った時の疲れがようやくドッと押し寄せてきたのだ。
志「(あかんな…これじゃ立てへん)」
視界が朦朧とする中、志麻は寄って来た赤髪の青年と消化器を持った少女、そして先程の金髪の青年の合格を告げるのだった。
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作成日時:2022年1月17日 5時