四十ニ話 ページ42
坂「(ホンマにまーしぃと戦ってるみたいや…!)」
セ?「どうした?先程から全く手も足も出ていないようだが」
坂「グッ…!(壊せば魂が消えるなんて、手出せる訳ないやん!)」
炎で距離を取るがすぐに接近され、間一髪で避けた坂田は顔を歪める。
結界により工場から出られず、得意の広範囲技も使えない為に坂田は苦戦を強いられていた。
センラ?は坂田の体力が無くなってきているのを察し、隠れていた人形に指示を出す。
人形は坂田に飛び付くと、赤い光を飲み込んだ。
坂「しまっ…!?」
取り戻そうと伸ばした腕は、志麻に蹴り飛ばされた体ごと離れて空を切った。
人形がバキバキと体を鳴らし、その音を聞きながらセンラ?は自分の体を触る。
そして袖を捲くり、レーザーを当てて紋章を描く。
それはかつてルシファー一族によって潰された聖剣造りの家紋であり、折原家の先祖の勲章であった。
歴史の闇に葬られた哀しき家紋。
この無念を、ようやく晴らすことが出来る。
センラ?ーー折原博士は喜びの涙を流し、変化した人形へ振り返った。
しかしそこに坂田の姿は無く、変わりに無機質に佇む可愛い犬の姿があった。
坂「お前が人形に命じたのは俺の魂を奪う事、でも人形には魂の識別が出来ひんはず。やから例え違う魂でも奪えたら追跡を止めてしまう」
折「だから何だ!…もう一度すれば…!!!」
坂「させへんで!」
炎が折原の体を包むが、触れても爆発どころか火傷すらしない。
ただただ暑く、焼き焦がれる様な感覚だけが折原の体に走った。
涙が蒸発せずに頬を伝うのを感じながら、折原は灼熱地獄の中で絶叫し続ける。
坂「せめて人格さえあれば自立して俺を倒せたかもしれへん。敗因はお前の弱さや、くたばれ」
更に熱が上がり、折原はついに意識を落とすのだった。
*
折「はぁ…はぁ…素晴らしい!あれが坂田家の力!今度は熱耐性を着けて必ず…!!」
セ「もう"今度"はないで、ジジイ。お前はもう二度と目覚めさせへん」
折「な、センラ!?や、やめろ!これは儂の((」
セ「最高傑作?ちゃうよ、この体は俺の物や」
センラが入っていた暗闇に、折原博士を引きずり込み、代わりにセンラが光へ歩いていく。
暗闇は分厚い膜で覆われ、折原の叫び声も消えていく。
黒い光が赤く輝いてセンラを照らすと、彼は安堵した様に肩を落とした。
まーしぃも助けなあかんな。
センラは優しく微笑んだ。
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作成日時:2022年1月17日 5時