四十一話 ページ41
センラよ、やはりお前は奇跡を呼ぶ子だ。
月崎家の末裔と坂田家の跡継ぎが自らやってくるとは。
…そう怒るな、どうせお前には何も出来ない。
本命は悪魔の愛し子だが、肩慣らしに良いだろう。
試させて貰うぞ、儂の
*
志麻がセンラ?に詰め寄った瞬間、爆風が坂田の髪を揺らす。
目を開けた坂田の目の前に、センラ?の拳が突き出されていた。
坂「セン…ラ？」
志「ボーとすんな坂田！こいつはセンラやない！」
セ「ほぅ…凄まじい腕力だ。この拳を片手で止めるとは。流石は月崎志麻の名を継ぐ者、素晴らしい逸材だ」
志「…早くセンラの体から出て行け、その体じゃ俺は倒せへんやろ……っ!?」
その言葉に怪しく微笑み、センラ?は志麻に掴まれた腕を難なく動かし始めた。
そのまま腕を掴み返された志麻は激しく床に叩きつけられ、頭を地面にめり込む程押さえつけられる。
セ「甘く見ない方が良いぞ？コレはルシファーの一族を殲滅する為に創られた兵器、お前達は肩慣らしに過ぎない」
志「う…ぐぁ…！」
セ「センラ…儂の孫は優秀じゃ。この兵器を長い時間をかけて肉体と化してくれたおかげで、今儂はようやく悪魔を滅ぼす力(身体)を得た」
坂「…体を乗っ取った後、センラは何処にいるんや！」
セ「さぁ？…しかしこの体だけでは少し不安じゃ。だから貰うぞ、坂田家の膨大な魔力と月崎家の強靭な戦闘能力をな」
工場一帯に結界が張られ、センラ?の後ろからゾロゾロと大量のからくり人形が現れる。
全てのっぺら坊で瞳は空洞、その中の一人が志麻の体に抱き着いた。
志麻の苦しそうな声が聞こえたかと思えば、紫色の光が人形の中に入っていく。
そして音は止み、光を飲み込んだ人形はたちまち志麻の姿へと変わり、立ち上がった。
坂「人形が…人間に？」
セ「そうこれが儂の最高傑作、人形に魂を閉じ込めるドール魔法じゃ。人形は閉じ込めた魂によって姿を変え、魂に基づいた能力が付与される」
坂「人格や意識は削ぎ落とす…機械に出来るんやね」
セ「機械とは違う。魂にも痛みや苦しみをそのまま伝達でき、人形を壊せばその魂も壊せるからな」
眉を寄せた坂田をセンラ?は嘲笑い、志麻似のからくり人形に指示を出す。
坂「…てことはセンラもまーしぃもその中に居るんやな？」
セ「…だとしてもどうするのじゃ？お前は仲間を傷付けるのか？」
坂「いいや…勿論助けるんや！」
坂田は向かってくる人形に向かって、杖を構えた。
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作成日時：2022年1月17日 5時
