三十五話 ページ35
志「花オタク、お疲れ様。銅賞なのは残念やけど俺は好きやったで」
表彰が終わり、銅賞のリングを眺めていた私に志麻さんがそう声をかける。
モンブランの「白い山」という意味に沿って飾り付けた花達の解説を担任はしてくれたのだが、解りにくいとの事で銅に落ち着いた。
『賞すら貰えないのかと思っていたんですけどね。でもこれで退学は免れましたよ』
志「せやな。流石に学園の賞を取ったら退学はないわ。一番は普段の授業から追いつける事なんやけど」
『ぐっ…善処します…』
苦い顔をする私の頭を叩き、志麻さんはスイッと顔を寄せる。
志「個人的には退学して欲しいんやけど、な?」
『え…』
志「そんで俺の元へ嫁ぎにおいで?沢山愛したるよ」
唖然とする私の手を取り、細かな紫水晶が輝く指輪を指に通す。
人差し指に収まった指輪に口づけ、志麻さんは妖しく微笑んだ。
志「その時は薬指も開けといてな?」
『え…あ、う…』
志「その可愛い顔は期待しても良いってこと?」
グイッと体を引かれて顔が近くなる。
火照った自分の顔が紫の瞳に写り、更に熱が籠もる。
情報処理が追いつかず、脳が限界を迎えようとした時に突如誰かに腕を引かれた。
浦「口説くなら人目のつかない場所でしろよ、まーしぃ」
志「…悪い悪い。つい本気になっちゃった」
悪びれもなくそう言った志麻さんにため息を吐き、浦田さんは紺色の飲み物を手渡してきた。
浦「これ受賞者限定の特製ドリンク。好きな味に変わるから美味いぞ」
『ありがとうございます!浦田さんも金賞おめでとうございます!』
志「2連覇とは流石やね。そういえば浦田さんも花を飾り付けてたよな?」
浦「花言葉ってやつが結構面白くてな、知りたいか?まーしぃ」
志「いや、興味ないしええわ」
分厚い本をどこからか取り出したのを見て、志麻さんは慌てて首を振った。
二人の会話に少し笑いながら紺色のジュースを飲む。
おお…凄い、味噌汁の味がする。
炭酸なので少しずつ飲んでいると、後ろから見知った顔が近づいてきた。
坂「A、銅賞おめでとう!コンブラン僕にも作ってな!」
セ「コンブランってなんやねん!…あ、手伝った俺には勿論作ってくれるよな?」
『…市販で良くない?』
坂セ「「却下!!」」
抗議してくる二人を宥めて私は後の物語を思い出す。
大会後、物語は中盤に入って団との戦闘がメインになってくる。
…改変が起きなければいいのだけど…
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作成日時:2022年1月17日 5時