四話 ページ4
志「さっきから魔法使ってこーへんけど、随分余裕そうやな」
セ「…そういうアンタも楽しそうですね。もしかして遊ばれてます?僕」
志「さぁ?どうだろう」
今、私の目の前で、最初のイベント"対志麻戦"が繰り広げられている…!!
操作さえまともに分かっていない多くの初見プレイヤーを圧倒的強さで挫折させた、伝説の詰みイベント。
何度ここで躓いたことか…!!
しかもこれ、三次試験なんだよね。
生徒の実力を図る抜き打ちテストでもあり、本校に相応しい生徒かを見極める最終選抜でもあるのよ。
だからここで志麻さんに勝たないとNKSG学園には入学出来ないし、物語も始まらない。でも…
『…どうやって勝ったんだっけ?』
志「…遂に考え込んじゃったよあの子。彼氏がピンチなのに」
セ「僕はAにとって、そんな大きな存在になれませんよ。勿論貴方もね」
志「あらら、そりゃ残念やなぁ」
―――――バゴッ――
セ「ウグッ…!!」
志「お、綺麗に入った。やっぱ不意打ち弱いな、お前」
セ「(今の全然見えへんかった!ていうか一撃一撃が重たすぎんねん。腕痺れてくるんだが…⁉)」
崩れた体制から回し蹴りをして、志麻から距離を取るセンラ。
先程殴られた腹を擦り、相手の目をじっと見つめ続ける。
志「(あの体制から回し蹴りなんて器用やなぁ。それに不意打ちしか入らないって浦田さん以来ちゃう?)」
口角を上げていた志麻の首に冷や汗が流れる。
お互い何も話さず、ただ見つめ合う時間だけが経っていた。
セ「(やっぱりこの人…)」
志「(コイツ見た目によらず……)」
セ/志「「(強い…!!)」」
『センラさん!私応援呼んでくるわ!』
セ「……え、戦ってくれへんの?」
『任せて!!』
セ「無理やで?この人相手に一人は」
『さっきまで戦えてたから大丈夫!!』
セ「いやさっきまで戦えてたのは……Aがいてくれたから…」
『…………?』
セ「…………Aが側にいてくれたら、俺、幾らでも頑張れるんよ。だから…!」
そう言って振り返るセンラ。
しかし、Aの姿はもうどこにも見当たらなかった。
志「行っちゃったな、あの子。まぁその、なんだ。…………ドンマイ」
セ「…そこも彼女の魅力ですからね」
志「うわぁ重症や…」
その後の志麻のパンチは若干優しめになった。
…でも殴るんだね。
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作成日時:2022年1月17日 5時