NKSG学園ですって、知らないですよね【usss】 (ページ21)

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二十一話ページ21

「(ふふ…やっと気がつきましたか。初めから全員校舎に入っていれば分かっていた事なんですがね…)」

焦る生徒らを見てニヤリと嘲笑う教員達。

勿論今志麻と浦田の二人が持っている宝石を合わせても、まだ取り残されている宝石には半分も及ばない。

つまり全体の3分の2がまだ校舎内に残っているという事だ。

「う、嘘だろ…!?」

「急いで取りに行かねぇと…!!」

浦田からその話を聞いた周りの一、ニ年生らは、一斉に走り出す。

その様子を見た他の一、ニ年生らも校舎に向かって走り出し、大きな砂埃が舞った。

殆どのチームが動き出したその時、箒に乗って一人抜き出ていた坂田が瞳を紅く染め上げる。

そして後ろの彼らを包み込むかの様に、高く分厚い炎の壁を作り出した。

「くっそ、何だこれ…!?」

「逃げ道が塞がれる…急いで脱出するんだ！」

慌てて後退する彼らを嘲笑うかの様に、炎の壁は逃げ惑う彼らを包み込む。

残された道は上に開いた大きな穴のみ。

坂「これなら脱出出来ひんやろ」

セ「…普通の人間やったらな？」

坂「え、なん((……うわぁぁああ!!!」

なんで、と開いた口からは情けない悲鳴が流れ、坂田は真っ逆さまに炎の壁の中へと落とされてしまう。

坂「(センラも閉じ込めたはずやのに！…まさかこの高さを飛び越えたん!?)」

セ「(意思はあるけど人やないからな、俺。…坂田は分からんかったやろうけど)」

自身の脚力を上手く使って校舎の中に滑り込むと、目の前には赤く光り輝く宝石。

思わず触れた手がするりと通り抜け、«赤は二年のみ»と宝石の上に浮かび上がった。

セ「(成程、色ごとに対象の学年が決まってて、一年は赤、青以外と…)」

浦田が持っていた宝石が青色だった事を思い出し、何となく残りは緑かと察する。

その場を暫く探していたが、炎の壁が無くなったのが目に映る。

セ「壁の外に落としとくんやったな」

金髪の青年はバツが悪そうな顔を浮かべながらその教室を後にした。

・

？「凄いねぇ、あんな大きな炎の壁初めて見たよ」

「え？えぇ…坂田家の子ですね。魔力量は恐らく学園トップかと」

？「その子を落としたあの金髪の子も中々強そうだったねぇ…」

「金髪の子はあの問題児とやりあえていたらしいですよ、凄いですよね」

？「問題児？」

「月崎ですよ、月崎志麻。彼も優秀なんですが…」

？「へー…そうなの」

訝しげに目を細める彼は教員でもましてや生徒でもないが、その事に気づく者は誰もいなかった。