十八話 ページ18
セ「A〜?もう帰るで?」
『あ、ちょっと待って下さい。すぐ行きます!』
ん〜、というセンラさんの返事が聞こえると、私は急いで身支度を整える。
当たり所が悪くて数時間目が覚めなかった為、配布される教材や用紙は明日渡されるらしい。
それよりもこれからどうしよう…
原作通りの進行が出来なくなるかもしれない。
校医さんに礼を伝え、センラさんの元へ向かう。
『すいません、遅れました』
セ「ん、ええよ。それより怪我は大丈夫なん?」
『大丈夫です!まだ痛みますけど、明日には治ってるらしいので』
セ「そっか、なら良かったわ」
そう言って頭をポンポンと叩いたセンラさんは、蜂蜜色の瞳をゆっくり細めて微笑む。
そのあまりの妖艶さに思わず見惚れていると、いつの間にか彼の背中が遠くを歩いていた。
慌てて彼の後を追いかけていると、何処からか美味しそうな匂いが漂ってくる。
昼食が取れなかった事もあり、ふらふらとした私の足どりは匂いのする場所へと向かっていった。
しかし、その目的は私の肩を掴んだセンラさんの手によって果たされることは無い。
セ「A〜、どこに行こうとしてる?」
『あ……』
ガシッと強く掴まれた肩はピクリとも動かす事ができない。
ついてってもいい?、そう言ってにっこりと黒い笑みを浮かべるセンラさんに、私はあはは…と苦笑を溢した。
いつもよりセンラさんの圧が強く、バイクに乗っている間もビクビクと怯えていた。
それが気に入らなかったのか、センラさんは此方をチラッと見たあと、ジェットコースターの様に暴走し始める。
悲鳴を上げる私と高笑いをする彼。
あれ?センラさんってこんなキャラクターだったっけ?
その言葉は喉から悲鳴へと変換され、結局家に着くまでには私の喉は砂漠の様に乾燥していた。
そこの金髪のイケメン。笑うんじゃない、誰のせいだと思ってるんですか?
その言葉が目で伝わったのか、ごめんごめんと半笑いで謝る彼。
取り敢えず水が飲みたいので家に入ろうとしたとき、センラさんは忘れてた、と呟いた。
セ「来週、学年混合の授業があるらしいから運動しやすい服で来るんやで!」
『わがりまじだ、ありがどゔございまず…』
セ「ふっ…w」
『(笑わないで下さい、こっちは絶叫と恐怖で心臓バックバクなんですから)』
未だ笑い続けているセンラさんに別れを告げ、家の中に入れば目の前には母上。
母「貴方も遂に彼氏が…!!」
『ちがいまず…』
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作成日時:2022年1月17日 5時