告白 / 🐰 ページ45
.
「 は？ 」
私が行ったらきっと、彼は嫌がるから。
そう言って一緒に行かなかった彼の家。
彼が訪れたことすら忘れかけいた頃、剣持さんから電話がかかってきた。
「 っ、Aさんが、Aさんが、包丁で、さして、死んで、あ、 」
拙い言葉で情報を伝えてくれた剣持さんの声を聞いて、そう声が漏れた。
とりあえず伝えてくれた事に礼を言い、電話を切る。
布団を頭からかぶり、それからしばらく放心していた。
何も考えられなかった。何も、考えたくなかった。
受け入れなきゃと思いながら、頭がそれを拒否していた。
どれくらいそうしていただろうか。
気付けば朝日が昇っていて、つけっぱなしだったテレビからは
ニュースキャスターの爽やかな挨拶が聞こえてきていた。
それにイラついて電源を消して、リモコンを床に放り投げる。
ずっと使わずに放置していた頭が、事実を少しずつ理解していた。
Aさんは、もう居ない。もう二度と会えない。
もう二度と、抱き締めてはくれない。声をかけてくれない。
話しかけてくれない。顔を見ることすら出来ない。
受け入れたくない事実があまりにも多すぎて頭がパンクしてしまいそうだ。
それでもズルズルと体を引きずりながら立ち上がろうとする。
ぐ、と足に力を込めた途端、全く入らなくて床に倒れ込んだ。
「 っふ、ぐ、ぅ ... 」
床に倒れた衝撃と共に、涙が溢れ出す。
こんな事実、受け入れるはずがなかった。
何度も経験しているとはいえ、私はまだ女子高校生なのだ。
「好きな人が死んだ」なんて大きな事実を受け入れられる訳が無い。
まして、彼とは最近再会したばかりだというのに。もう会えなくなるなんて。
「 ああもう、 」
全部全部、大嫌いだ。
思わせぶりな態度を取るところも
すぐ色んな人に笑顔を振りまくところも
気軽に頭をポンポンしてくるところも
笑って抱きしめてくれるところも
全部、全部全部、大嫌いなのに。
「 置いて、行かないでっ ... ！ 」
笑い声も、話し方も、顔も声も、全部全部。
私の気持ちを知ってたくせに 返事を返さないズルいところも。
「 ばーか。 」
届かぬ告白だと分かっていても。
貴方の事が、大好きでした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1825人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねろち。(プロフ) - 紅葉🍺さん» 結末を知った時に読者様に衝撃を与えたいなと思ったので、そう言って頂けると意図通りに書けたのかなと安心しますありがとうございます！！最後まで読んで頂きありがとうございました🙏🙏 (2023年1月4日 18時) (
レス) id: bb9a7b6c67 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉🍺 - 題名からして、復帰してワイワイするやつかと思ったけど、全然違った。もし本当にこれが起きたらと思うと怖いし、けど呼んでて面白いって思ったし楽しかった。これからも頑張ってください！ (2023年1月1日 11時) (レス) @page47 id: 5f9d6305aa (このIDを非表示/違反報告)
ねろち。(プロフ) - ライさん» ライさんありがとうございます〜！！楽しんで頂けたようで何よりです😭😭わーリクエストありがとうございます！新作を載せに来た時一緒にお話追加しますね、ありがとうございます🙏 (2022年12月9日 14時) (レス) id: bb9a7b6c67 (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後に来たなみたいな、見ててとってもハラハラというかしてました。完全にリクエストと言います運営からこのことを告知？されたリスナーからの反応？が見てみたいです😭 本当に素敵な作品ありがとうございました新作も楽しみに待ってます (2022年12月9日 7時) (レス) @page46 id: 57ba972254 (このIDを非表示/違反報告)
ねろち。(プロフ) - 御々神瑞稀さん» 御々神瑞稀さんありがとうございましたー！！嬉しいお言葉もありがとうございます光栄です😭おたのしみに！ (2022年12月9日 7時) (レス) id: bb9a7b6c67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねろち。 | 作成日時：2022年7月24日 13時
