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41話  失っても ページ47

そのあと、真っ青な顔の和巳さんに近づいた。


「和巳さん、大丈夫ですか?」


「...婚約者を失って、大丈夫だと思うか」


少し俯いた炭治郎を見て、私は和巳さんに口を開いた。


「和巳さん。失っても、失っても、生きていくしかないですどんなに打ちのめされようと」


バッと顔を上げた和巳さんが、私の服を掴む。


「お前に何がわかるんだ!!お前みたいな子供に!!」


その言葉に、私は目を細め口を笑みの形にした。


「...ごめん、なさい」


炭治郎と和巳さんが、はっと顔を上げた。私の服を掴んでいた手が、自然と落ちる。


「俺たちはもう行きます。...この中に、里子さんの持ち物があるといいのですが...」


炭治郎から渡されたかんざし入れを見て、わずかだが和巳さんの顔が輝いた。


「あ、後、ここに来る途中で摘んできたんです。もしよかったら」


笑みの形のままカモミールの花を手渡して、一礼してから和巳さんに背中を向ける。


「すまない!!酷いことを言った!!どうか許してくれ!!すまなかったっ...」


和巳さんの言葉が聞こえてきた。炭治郎と二人で、手を振った。


痛いほど拳を握りしめる。


ただただ、心の中を鬼舞辻無惨への怒りが渦巻いていた。


その時、冷えきっていた左手が、ふと温かくなった。


「...炭治郎?」


ぎゅっと握られている炭治郎の右手に疑問を覚え、問いかける。


「...あっ...えっと、その」


真っ赤な顔でしどろもどろになっていた炭治郎だったが、ふいに空いてる手を口に押し当てると、呟いた。


「...寒そう、だったから」


...そういえば、私が寂しい時とか、いつもこうしてくれたな。それで、何度も救われたっけ?


「ありがとう、炭治郎」


そう笑顔で言うと、手の熱さが増した気がした。









カモミールの花言葉


「逆境に耐える」「逆境で生まれる力」

42話  浅草へ→←40話  妹に



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アリス - ミライノミチさん» ありがとうございます。とても励みになります。そのうち恋愛を増やしていくので、待って頂けたら泣いてバック転して喜びます。 (2020年11月23日 17時) (レス) id: e28dd41caa (このIDを非表示/違反報告)
ミライノミチ - 面白いです。いつも更新楽しみにしております。これからも頑張ってください。 (2020年11月23日 14時) (レス) id: 6244c3b093 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アリス | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/EHL/  
作成日時:2020年10月17日 15時

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