29話 は? ページ35
...は?
「そうだなァ、特に印象に残っているのは...二人だな、あの二人」
少し考えた後、そう言った。
「珍しい毛色のガキだったな、一番強かった。宍色の髪をしてた、口に傷がある」
「もう一人は花柄の着物で女のガキだった。小さいし力もなかったが、すばしっこかった」
...嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ。
脳裏に残っている、あの天使の様な笑顔と、寂しそうな笑顔が浮かんでは消える。
「目印なんだよ、その狐の面がな。鱗滝が彫った面の木目を俺は覚えてる。アイツがつけてた天狗の面と同じ彫り方。『厄除の面』とか言ったか?それをつけてるせいでみんな喰われた。みんな俺の腹の中だ。鱗滝が殺した様なもんだ」
クスクスと、ゴミの様な音を立てる。
「ぐふっ、ぐふふっ、これを言った時、女のガキは泣いて怒ってたなァ、ぐふふっ。その後すぐ動きがガタガタになったからな、ぐふっぐふふっ、手足を引きちぎってそれから」
その後の言葉が紡がれる前に、私の中で何かが切れた。炭治郎も限界だったらしい。
向かって来る手を、ひたすら斬っていく。
...気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
そうぼんやりと考えていた時、
『落ち着け、呼吸が乱れている。もういいんだ俺達の事は!!』
『お願い、A。落ち着いて...私達は、もういいの』
聞き覚えのある声が聞こえ、思わず手を止める。
その時、炭治郎が手鬼に吹っ飛ばされた。
ゴッという鈍い音を立て崩れ落ちる炭治郎に、手鬼の手が迫る。
私は、グッと歯を噛みしめ、
「...もう、いいわけないでしょおおおお!!」
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アリス - ミライノミチさん» ありがとうございます。とても励みになります。そのうち恋愛を増やしていくので、待って頂けたら泣いてバック転して喜びます。 (2020年11月23日 17時) (レス) id: e28dd41caa (このIDを非表示/違反報告)
ミライノミチ - 面白いです。いつも更新楽しみにしております。これからも頑張ってください。 (2020年11月23日 14時) (レス) id: 6244c3b093 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アリス | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/EHL/
作成日時:2020年10月17日 15時