27話 試練突破 ページ31
錆兎、真菰と出会って、半年経った。
全集中の呼吸も、だんだんコツが掴めて来た。
...今日こそは、絶対消す。何故かわからないけど、使命感がすごい。
試練の木を目の前に、呼吸を整える。
「...やあああっ!!」
木を斬ると、斬った断面から光が溢れ出した。
その光は木全体を包み、空へ昇ってきらきらと消えていった。
「...成功、した...?」
実感が掴めないでいると、後ろに誰かが抱きついて来た。
「真菰...」
頭に、ぽんと手が置かれる。
「錆兎...」
錆兎は、笑っていた。ひどく安心した様な、それでいて、寂しそうな、苦しそうな笑顔だった。
「...A、勝ってね。アイツにも」
「...俺は、いつでもお前の側にいる。頼むから死なないでくれ、A」
その声を最後に、二人は消えた。
ただただ呆然として立っていると、誰かの気配がした。
「鱗滝さん...」
鱗滝さんは、ゆっくり私に近付いて来た。
「...お前を最終選別に行かせるつもりはなかった。もう子供が死ぬのを見たくなかった。お前に、本当に木を消せるはずがないと思っていたのに...」
錆兎がしてくれた様に、私の頭に手が置かれる。
「よく頑張った。A、お前は凄い子だ」
目頭が熱くなる。堪えきれない嗚咽が、口から漏れる。
「最終選別、必ず生きて戻れ。儂も妹も此処で待っている」
久しぶりに会った炭治郎は、髪が伸びていた。
その髪を切ると、鱗滝さんから『厄除の面』というお面をもらった。悪い事から守ってくれるらしい。
炭治郎は太陽がかいてある白い狐のお面だが、私は金魚や花びら、波紋がかいてある黒と金の狐のお面だった。
...炭治郎、純白って感じだもんね。
そして、禰豆子はまだ眠り続けている。連れていけないので、鱗滝さんに預かってもらう事になった。
「鱗滝さん、行ってきます」
「錆兎と真菰に宜しくお願いします」
走っていく私達の背中に、鱗滝さんの呟きは届かなかった。
「...何故、お前達が死んだあの子達の名前を知っている」
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アリス - ミライノミチさん» ありがとうございます。とても励みになります。そのうち恋愛を増やしていくので、待って頂けたら泣いてバック転して喜びます。 (2020年11月23日 17時) (レス) id: e28dd41caa (このIDを非表示/違反報告)
ミライノミチ - 面白いです。いつも更新楽しみにしております。これからも頑張ってください。 (2020年11月23日 14時) (レス) id: 6244c3b093 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アリス | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/EHL/
作成日時:2020年10月17日 15時