15話 埋葬にて ページ19
その人へついていき、お堂の中へ入る。どうやら、鬼に喰われてしまった人達を埋葬するらしい。
元々埋葬をする予定だったが、その人から進んでやるのは少し意外だった。お面の下は冨岡さんみたいに怖い人かと思っていたが、優しい人なのかもしれない。
「お前の名はなんだ」
「あ、姫野Aといいます」
喰われてしまった人を運んでいる最中だったので、危うく人を落としかけた。やはり表情が見えないのは少し怖い。
「...そうか」
沈黙が満ちる。三人目の人を埋め終わった時、天狗さんが口を開いた。
「お前は、鬼になった者をどう思う」
天狗さんを見ても、視線は合わなかった。どこかを見据えている。
それだけで、この問いの答えは、生半可なものではいけないと察せた。
「...その、鬼の事はよく分かりません」
私は、ぼんやりと埋葬した人達を見つめた。
「もしかしたら、本当は鬼になりたくなかったのかもしれない」
私の言いたい事は伝わるだろうか。
「凄く凄く、苦しみもがいているのかもしれない」
もしかしたら、私の家族を殺した鬼も。
「でも」
天狗さんは黙ったままだ。
「人を苦しめるのは、やっぱり駄目です」
罪もない人を殺すのは、許されない事。
「だからこそ」
天狗さんがピクリと動いた。
「その後、ちゃんと自分のした事を認めて、殺してしまった人達に謝れるかが大切だと思います」
...謝ったつて許される事ではないけど。
「...そうか」
天狗さんはそう言ったきり、何も話さなかった。
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アリス - ミライノミチさん» ありがとうございます。とても励みになります。そのうち恋愛を増やしていくので、待って頂けたら泣いてバック転して喜びます。 (2020年11月23日 17時) (レス) id: e28dd41caa (このIDを非表示/違反報告)
ミライノミチ - 面白いです。いつも更新楽しみにしております。これからも頑張ってください。 (2020年11月23日 14時) (レス) id: 6244c3b093 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アリス | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/EHL/
作成日時:2020年10月17日 15時