シンデレラと王子様

慧王子 ページ17

慧side




あい『ギャーーーーーーーーーー！！』




部屋に鳴り響いたあいの叫び声。




慧『あい？！どした？』




急いであいのもとへ行く。




あい『ふぇ、けーーいー！！助けて！』




そこには部屋の隅でうずくまって半泣き状態の

あいがいた。

部屋にはなんの異変もない。




慧『何があったの？言って？』


あい『あ、あのね……あの…ゴキ…うぅぅ』


慧『え…まさか出たの？あいつが…』


あい『うん……慧、どうしよ…』




そんな涙目で訴えられたら、

虫が得意ではない俺も頑張ってしまう。




慧『よ、よし！俺が退治するよ』




震える声でそう言って虫撃退用のスプレーを

取り出す。




慧『あ、あいつはどこにいるの』


あい『あの棚の下…』


慧『分かった』




ゆっくりと近づいていく。

そして問題の棚の前で止まり、

そーっと殺虫剤を棚の下へ向ける。

プシューーーー

カサカサカサカサ




あい『ほわーーーー！！』




プシューー、プシューー、プシューー！

一度では効かなかったらしいので

恐怖にかられながらも必死に

殺虫剤を撒き散らす。

すると動きが鈍くなってきて尚もスプレーを

し続けると、動きを止めた、やつ。




慧『い、いけたかな…』


あい『と、取り敢えず上にタッパーをかぶせて！』




部屋の隅っこで縮こまっているあいに

言われた通りに大きめのタッパーをかぶせる。




あい『そしたら、えっと……あ、紙を、やつの下にくるように差し込んで』


慧『いけた』


あい『そしたらそれを持ち上げて…』




落ちないように、そーっと持ち上げる。




あい『ベランダからポイッ』




紙をすっと引き抜いて、やつだけを落とす。




慧『このタッパーと紙は？』


あい『ゴミ箱！！！』


慧『はい』




その後、やつがいたところを念入りに

雑巾でこすってやっと作業は完了。




あい『あ、ありがとう』




なんて言いながら抱きついてくるあい。




あい『慧がいなかったら私今頃どうなってたやら』




しみじみとした口調でそう言うと…




あい『DVD観よっか』




さっきまでのことがなかったかのように

ケロリとした表情を浮かべながら

聞いてきた。




慧『うん、いいよ』




その後苦笑いを浮かべながら恋愛映画を

２時間たっぷりと鑑賞した俺であった…。




.

侑李王子→←大貴王子

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