はるがいつつ ページ7
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しっかし眼福が過ぎる。
私も母さんの血だから寧ろ良い方だとは思うが、磨く努力をしてないからまあ仕方ない。
ファミレスを貸し切って最後にプチクラス会的なのをやってるんだが、今は何となく部活で固まってるのでアイアムアローン状態。
因みに私はクラス唯一のバドミントン部だ。
乾杯されてジンジャーエールをがぶ飲みすると、一気飲み止めな、とやって来たしづにたしなめられる。
あ、そだ忘れてた。
「しづ、はいこれ」
「ん?」
ピーチソーダのグラスから顔を離して私の手に目を落とす。
スカイブルーの包装紙。
「一方的な卒業祝い。ま、これからお世話になるって意味も込めてるけど」
「え、わー何?」
「開けてみてからのお楽しみ」
カサカサと音をさせて、革張りのケースが現れる。
数秒後、わあ……!と声が上がった。
オフホワイトの万年筆と、私の個人的好みでイニシャルを刻んだ銀のプレートがついたもの。
「え、これ……!これ欲しかったやつ!
え、何で分かったの遙香ありがと愛してる!!」
感情のままに叫ぶとがばっと抱きついてきた。
「お熱いな、お前ら相変わらず。
しかも一緒に住むんだって?本格的に夫婦かよ」
乾杯の音頭を取ってからクラス内をぐるっと巡ってきたらしい委員長が入ってきた。
ちょっと色々ツッコミたいんだが、概ね正解なので言い返せない。
大学はここから遠く通学も厳しいけど、いきなり一人暮らしはハードルが高すぎる。
ので、学部も同じで仲の良いしづと私が互いの親の許可も取ってそういうことになった。
家も年季は入ってるけど、風呂トイレ別かつ2階で2LDKという超優良物件を見つけたので、そこに二人で即決。
「別にその認識でも良いわー、私。
男連れ込む気も機会もねーし」
ジンジャーエールをストローで吸いながら言うと周囲が何故か生暖かい空気で満ちた。
ああ違うかこれ。「そりゃそうだな」って遠い目してるんだ、そうだきっと。
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作者名:camellia | 作成日時:2021年3月10日 9時