44，私の前前世 ページ46
Side me
『いいけど……アンナを呼んでくれないかな』
ノーマン「え？アンナを？なんで……」
ノーマンはレイにバレることを懸念しているのだろう。
『大丈夫』
すると、エマがアンナを呼んできてくれた。
アンナ「A……話すの？」
アンナ以外「！？」
『ええ。いいかしら』
アンナはこくりと頷く。私はそれを確認して、話し始めた。
『私はレイと似たような感じ。少し……いや、大分違うかな。
私のここにきてからの最初の記憶は私をのぞき込むママの顔、そしてたくさんの子供達。
その時私は理解してしまったの、〈約束のネバーランド〉の世界に来てしまったんだなって。
転生ってわかる？レイ。このことはアンナにも話してないかな』
レイ「前世の記憶を持ったまま生まれ変わるっていう……？」
ノーマン「まさかA……」
『そう、私には前世の記憶があるの。だから精神年齢はエマ達よりも大分上。
えーと……エマ、前前世と前世、どちらから話してほしい？』
エマ「え！前前世って……ここ三回目！？なら最初から聞きたい！」
『えーとね、ほんとにつまらないけど……レイ、虐待ってわかる？』
レイ「？おう。繰り返しあるいは習慣的に、親が力をふるったり、冷酷・冷淡な接し方をするっていうことだよな？」
ドン「A、お前……」
『そう、要するに心身共に傷つけるってこと。あの時は「外」を見たことがなかったわ。
両親……最もそう思ったことはないけど、そういう環境で育った。
私の知識は全てその時に学んだもの。
苦しい、痛い、辛い、お腹が空いた。いつもそうだった。
だけど、ある日何も感じなくなってしまったの。
私は感情を隠すようになった。……いや、失ったのほうが正しいかな』
ギルダ「失った……」
ギルダは呆然とする。
『そう、両親は毎日毎日ろくに私に食事も与えずに暴力をふるった。なぜかはわからない。
考えようとさえ思わなかった。でも、勉強だけはしていた。
家から出たことはただの一度も無かったけど、通信制の学校に通っていたの。
それが日本……私の世界では義務教育だったから』
私は続ける。
『そして、おそらく死んだ。１３の時だったかな、その日は寒かった。
だんだん手足の感覚がなくなってきて、気が付いたら女の人が私を見ていた、終わり。
これが私の前前世。つまらないでしょう？未だに〈楽しい〉とかいうのはよくわからない。
一度失ったものはもう取り戻せないんだろうね』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「転生」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏 - レモン味のかき氷さん、感想ありがとうございます！これからもぜひ拝読していただけたら幸いです。 (2021年3月27日 13時) (
レス) id: 6bc76230b1 (このIDを非表示/違反報告)
レモン味のかき氷 - 面白いです！頑張ってください！ (2021年3月27日 9時) (レス) id: f308ff6fdb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏 | 作成日時：2021年3月26日 17時
