氷の華…エルキト゛ゥ ページ7
ドボン、と音がした瞬間、全身が痛くなった。肺に冷たい水が刺さり、動けなくなる。もがこうとしても指の先まで凍ったよう。永久凍土と言うだけあって、とてもきびしい環境だ。
上から影が降ってきて抱きとめられる。水の上に出た時は髪の毛や頬が一瞬にして凍り始めた。目を瞑っていたから瞼まで凍り付き開いてくれない。
「マスター!しっかりするんだ!みんな、急いで火を熾して。このままではマスターが凍えしんでしまうよ。」
「さむ…い。」
「大丈夫だよマスター。いま温まるから。」
熾された火の感覚が徐々に伝わってくる。瞼の氷から解け始めて、目を開けるようになった。隣にいるエル○○ゥやみんなにお礼を言うとみんなは笑ったり呆れたり。
「それにしても、驚いたよ。いきなり姿が見えないと思ったら氷の下の湖に落ちてるんだもの。」
「ごめんね。」
じっとエル○○ゥに見つめられたと思えば頬に低めの体温がなぞられた。
「…?どうしたの、エル○○ゥ。」
「いや、君が死ぬかもしれないって時に不謹慎だったとは思うけど、氷が君を覆っているのはとても綺麗だと思ったんだ。」
花みたいに君に張り付いていたんだもの。そう言ったエル○○ゥは私の髪についている水滴を払った。
「いつもと違う君を見れて、嬉しい自分が居るんだ。」
「ぇ…。」
「でも、流石にこんな小さな火じゃ温まらないね。一度拠点に戻ろうか。」
そう言って手を引いたエル○○ゥの横顔は凛としていて、思わず見とれてしまった。
56人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ