心底2…アルジュナ ページ3
耳元で囁くと肩を大きく揺らす。どうもマスターは耳が弱いらしい。これも初めて知った。
やだと幼子のように目に大粒の涙を溜めてせがむ。それが私を煽る行為だとも知らずに。
いつものミステリアスな雰囲気を纏うマスターはここにはもう居ない。私だけが知っている『女』の顔。優越感が私を支配する。その表情だけで自身が昂っていくのが分かる。
「マスター」と耳元で何度も繰り返す。時折甘噛みしたりしているとマスターは脚を擦り合わせる。わざとマスターの脚の間に自分の脚を割り込ませればびくりと肩を震わた。
「もしかして…………。濡れているんですか？」
「そんなこと、ない。」
「本当にそうですか？下着越しにふれても分かりますが…」
わざと音が出るような触りかたをする。マスターの顔がこれ以上ないくらい赤く染まる。
響く水音と自身の甘ったるい声に羞恥しているのだろう。
段々マスターの力が抜けていくのが分かる。それと反比例して、脚の震えは大きくなっていく。もう拘束は要らないと察するのは容易い事だった。
マスターの下着を剥ぎ取る。
彼女は荒く息をするだけで精一杯のようだった。
「………これだけ濡れていれば指をいれても問題ありませんね。」
指を一気に三本いれバラバラと動かすと彼女は果ててしまった。仕方なく指を抜けば銀色の糸が引く。
「マスター、いれますよ。」
いまだ余韻に浸る彼女に奥まで挿し込む。すると、また果てたようだ。目を見開き短く喘いでいる。
「マスター…っ動きますよ。」
返事の間も与えず腰をふる。一層大きくなる粘着音と嬌声が脳内で反響する。
聞こえる度に突く度にどんどん興奮する。
凛としたマスターを自身で汚しているという罪悪感でさえ、甘美な薬の材料でしかない。
「も、やめっ…いってる……」
「そ、ですねっ……貴女がっ孕んでくれるならっ」
途切れ途切れにそんな事を言う。孕む訳ないことは私が一番知っているはずなのに。
それからなんど行為をしただろう。草木も眠る時間なんてとっくに過ぎた。
分かることは獣のようにマスターを貪ったこと。
交尾が終わる頃にはマスターの身体には自分の噛み痕と赤い花が咲いていた。
真名を知らない女を呼びながら最後に果てる。
ごぽりと音がして、彼女から白い液体が止めどなく流れ出す。
「……酷い…。」
マスターはポツリそう言ったのが聞こえた。
胸が軋んだのを、私は知らないふりをした。
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