憧憬と焦燥と…gr ページ36
「好きです、付き合ってください。」
何度も聞いたその響き。また今日もそれを聞いている。そしてその申し込みを断るのだ。
去っていく小さな女子生徒の背中を見つめながら悪いことをしたと思いつつ、これでいいと思っている自分がいる事も自覚する。
一年でトン氏と一緒に生徒会に入って、お互い違う女性に恋をした。あいつは俺の幼馴染み。俺は当時の生徒会長。
グ「先輩、この資料出来たので置いておきますね。」
あ「ありがとうグルッペンくん。」
微笑む先輩が綺麗でばれないように見つめていた。気持ち悪いと思う奴も居るだろう。けれど、下らない俺の自尊心がそうしたんだ。
あ「グルッペンくん、そろそろ帰らなくて大丈夫？確か……家、遠かったよね。」
グ「……嗚呼、大丈夫です。」
本当に、彼女の記憶力には感服する。大半の生徒の事を把握しているのだから。俺もその内の一人に過ぎないと思うと嫉妬心にかられる。
あ「グルッペンくんとトントンくんは本当によく働いてくれるね。……これなら来年も安泰だ。」
貴女のためです。なんて言葉、余裕が無くて言えなかった。今なら言えただろうか。言えていたら結果は変わっただろうか。
トン氏が付き合い出した頃、もう季節は冬で。もうそろそろ先輩が居なくなる。そう考える時間が段々と増えていった。
けれど、想いを伝えたくともこれは憧れなのだと思おうとしていた節があった。本当に馬鹿な選択をした。
あ「グルッペンくん、そろそろ私…受験に力いれたいの。
だから、ここの事……任せていいかな。」
グ「……分かりました。」
彼女が生徒会室を出ていくところで腕を掴む。先輩が振り向いたのが分かったが、俺はうつむいたままだった。
あ「……どうしたの？グルッペンくん。」
グ「……好きなんです…Aさんが……。
……すみません、こんな時に言ってしまって。」
彼女の表情は見えなかったが、困っている事は容易に想像できた。
先輩、俺は貴女に憧れて、生徒会長になりました。でも、どんなに頑張っても心に空いてしまった隙間は埋まることなんて無かった。
これからも貴女に憧憬と焦燥と恋慕の情を抱き続けるんだろう。
貴女の存在は、俺の中で大きくなりすぎた。
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羅威那(プロフ) - 鵯(ひよどり)さん» 喜んでいただけたようでなによりです。体調まで心配していただけるとは……。これからもこの作品をよくしていくため、日々頑張ります！ (2018年7月20日 8時) (
レス) id: eebf109561 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(ひよどり)(プロフ) - 羅威那さん» リクエスト消化有難う御座います。描写が美麗鮮烈で感嘆に尽きます。影ながら応援しております。最近は内外の寒暖差が激しいですのでお身体には十分お気をつけ下さい。並びに度重なる長文申し訳御座いません。 (2018年7月19日 16時) (レス) id: cabb857a13 (このIDを非表示/違反報告)
羅威那(プロフ) - 鵯(ひよどり)さん» わかりました、わざわざありがとうございます！本当に例えるなら万華鏡みたいな感じですね！ (2018年7月19日 2時) (レス) id: eebf109561 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(ひよどり)(プロフ) - 羅威那さん» 其の辺りの主観は作者さんにお任せしますが、そうですね。敢えて言うなればカラフルで次々とめまぐるしかったり、完成した物が一瞬で壊れてしまうとか、壊しているのは回し手であるとか同様の模様が反射でずっと続いているとか。なんか上手く言い表せなくてすみません。 (2018年7月18日 22時) (レス) id: cabb857a13 (このIDを非表示/違反報告)
羅威那(プロフ) - 鵯(ひよどり)さん» ひとらんの学パロで病みですね？分かりました。すいません、教養等がないために万華鏡みたいな恋…というのがいまいちピンとこないのですがこういう事です、というのがありましたら説明をお願いできますか？ (2018年7月18日 21時) (レス) id: eebf109561 (このIDを非表示/違反報告)
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