【薄桜鬼】名無しの少女の本業は暗殺者です！弐＝２４＝

15周年記念番外編　徒花の戯れ言　9 ページ9

驚く僕をよそにヒートアップしているお姉さんを見て二人はやれやれと首を振っている。


芸子「ああ、始まってしもたわ。お気になさらずに。」


いや気になるけど。


気になりまくるけど。


芸子3「クサノオウの花言葉は思い出、私を見つけて、そして枯れた望み。
　 あの人に自分を見つけてほしい。でも見つけてもらうなんてことは
　 もうとうの昔に枯れてしまった望み。でも諦めることが出来ず二人の思い出が花となって溢れ出す。
　 叶うはずがないと諦めながら、それでいてまだ心の奥底であの人が
　 いつか自分を見つけてくれないものかと願ってしまう。揺らぐ想いはいつしか
　 自身で抑えることが出来ず一人……。切ない、でもそれがいいっ！」


……。


完全に自分の世界に入ってるってやつですね、これは。


芸子2「えらいすみまへんなぁ。彼女、ちょぉっと変わった趣味がありまして。」


うん、僕、こーゆー人見たことあるし、なんなら屯所にも刀でそうなる人知ってる。


ヲタクはどこでも元気だねぇ。


芸子3「で？牛若様の想い人はどなたですの？」


貴女「っ、げほっ、はっ？！」


久々に喀血とも花とも全く関係なしに盛大にむせる。


そんな僕はお構いなしにお姉さんのテンションは上がっていくばかりだ。


芸子3「ああ！言わんとってください！公式が口にしはったらそれで固定やけど
　 言わへんかったらそこには無限の可能性が広がりますさかい！
　 町で出会った娘はん？いや、お公家はんとこのお嬢様との身分違いの恋？
　 芸子への秘めた想いも美味しいし、ああ、せやったら命を懸けて戦う信念と
　 想い慕う心への葛藤がまた……、はっ！もしや寝食を共にし
　 命を預けあう隊士の方という線も……！！」


芸子1「これ、牛若様、引いてはるやないの。ほんますみまへん、下がらせますさかいに。」


貴女「あー……いえ、今日はこのぐらいにしときますんで。
　 その₋……、お大事に？」


もしかして僕は、かなり面倒な噂の種を蒔いてしまったかもしてない。

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