【薄桜鬼】名無しの少女の本業は暗殺者です！弐＝２４＝

15周年記念番外編　徒花の戯れ言　8 ページ8

そのあと彼女達が話してくれたことを要約すると、


曰く、想いが花となって溢れる病である。


曰く、罹患した人間の感情に応じた花言葉を持つ花が溢れる。


曰く、片思いを拗らせた者が罹る病である。


なんてこった。


口元を隠す目的で巻いてきた襟巻で顔を覆い隠してしまいたい。


貴女「……なんというか、情緒的というか、夢見がちというか。」


芸子2「でも、一度でええからそないに想われてみたいと夢見ますわぁ。」


芸子1「桔梗の〈永遠の愛〉、憧れやわ。」


芸子3「うちは桃やろか。〈貴方のトリコ〉やなんて言われてみたいやない。」


芸子2「藤の〈決して離れない〉も素敵やと思わへん？」


きゃー、と黄色い声を上げている彼女らを見ていると、
何処のどの時代でも恋バナってやつは盛り上がり間違いなしの鉄板ネタなんだなとしみじみ思う。


貴女「花言葉、ねぇ。」


そういうのにこだわる奴も裏社会の中にもいたにはいたが、
仕事に直結するわけじゃなし、そこまでは僕の知識の範囲外だ。


はて、それならばあの花の花言葉はなんというのだろう。


芸子1「ほんで？牛若様はどないなお花がええのやろ。」


そんなわくわくした目を向けられても困る。


てかなにか？もしかしてこの時代だったらやれ和歌だ俳句だ恋文だって、
現代より風流やら雅やらが重視されるわけで、花言葉も一般教養だったりするわけ？


だったら豊玉先生も花言葉履修済みなんだろうか。


いや、それはちょっと怪しいかも。


それはさておき、今僕の知りたい花は一つしかないわけで。


貴女「そうですねぇ。実はその聞いた話の中で出てきた花ってのが
“クサノオウ”って野草だったんですけど、生憎花言葉には疎いもので。ご存じだったりします？」


そう、ここで一つ大きな問題がある。


“クサノオウ”なんてマイナー野草の更にマイナーな花言葉を、
いったいどれだけの人間がわかると思ってんのか。


ほら見ろ、お姉さん二人が首捻ってるぞ。


あれ、二人？


芸子3「…………ぃぃ」


貴女「……あのー？」


芸子3「尊いわぁ〜〜〜〜!!!!」


え、何事？？？

15周年記念番外編　徒花の戯れ言　9→←15周年記念番外編　徒花の戯れ言　7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す