【薄桜鬼】名無しの少女の本業は暗殺者です！弐＝２３＝

821話 ページ21

出来事には予想外はつきものだ。







飛び交う怒声、舞い上がる土煙、鼻につく血の臭い。














僕は今、戦場に立っていた。














永倉「おいおい、ここは奥羽越列藩同盟組んでるはずだろ！？
　 何でこんなことになってんだよっ！」

















奥羽越列藩同盟。



















戊辰戦争のさなかに成立した、陸奥、出羽、越後の諸藩が
薩長中心の新政府の圧力に対抗するために作られた東日本の同盟である。















朝敵となった会津を助け、
東日本として独立することを目的としたこの同盟が結ばれているはずのこの地で、
なぜこんな窮地に陥っているのか。














考えたくはないが、皆なんとなく考えてしまっているのだろう。












“仙台が降伏した。”

















僕が知っていた歴史の流れよりも少しだけ早く、この展開が訪れたのだとしたら。














そしてもしもそれが本当に起こっていたのだとしたら、
それは新選組にとって最悪の状況ともいえる。












貴女「副長さん、僕が戦況を確認してくる。いいね？」















土方「いけるか？」













貴女「今は大丈夫。じゃ。」
















今、この場面で必要なのは敵戦力の規模とそれぞれの部隊の戦況。















貴女「……ああ、これは非常に良くないな。」











地形。












数。











武器。









情報が全く足りてない。










はやく、疾く速く。










僕にできることなどこんなことだけなのだから。












これが僕の役目で、そうすることで僕の守りたいものが守れるのなら。













僕は、どうなろうが構わない。

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