【薄桜鬼】名無しの少女の本業は暗殺者です！弐＝２３＝

818話 ページ18

だが、
彼女がこれ以上彼を傷つけることはなかった。












いや、最初からその気はなかったのだろうが。















貴女「う……」
















黒しげな声を漏らしながら顔を両手で覆い隠す。















平助「A……？」















貴女「…………ぃゃ。」



















ぽつり。
















小さな、今にも消えそうな声が漏れる。



















貴女「血なんて、飲みたく、ない……。こんな狂った姿、君に、見せたくない……。
　 君を……傷つけたくなんてないのに……」














理性と衝動の葛藤。














血への渇望をなけなしの理性で必死に抑え込む。













平助「苦しいんだろ？」
















貴女「……。」












平助「俺の血でいいなら、いくらでもやるよ。」
















貴女「いやっ……」

















駄々をこねる子どものように、嫌だ嫌だと首を横に振る。

















平助「頼むよ。俺は、おまえが苦しんでるところを見たくない。」

















安心させるように、彼女の髪をクシャリと撫でる。














その手から伝わる熱が、愛おしい。
















平助「だから、な？俺の為に、俺の血を飲んでくれないか？」










ずるい。













そんなの、ずるいじゃないか。

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