【薄桜鬼】名無しの少女の本業は暗殺者です！弐＝１９＝

６８３話 ページ33

見たことのない男の隣にただ立つ彼女の表情からは

何の感情も読み取れない。









まるで精巧に作られた人形のようだ。









男「コールド、標的(マト)はアレだ。」









その男はまっすぐ平助を指さす。









男「殺せ。」









男の短い言葉に彼女の身体は弾かれたように反応する。









ダッと強く床を蹴り、一瞬で平助の間合いまで飛び込んでくる。









背筋が凍りつくような恐怖が襲った。









何かが違う。









目の前にいるのは確かに彼女なのだが、中身はまるで知らない、

全くの別人のようだ。









何も感じないのだ。









喜怒哀楽のような感情も、人間らしさも、気配も、何もかも。









何もない無がまっすぐ己に向かって襲い掛かってくる。









咄嗟にできたのは避けるとかそういう次元ではなくただよろけたことで

一閃された軌道からズレた、というぐらいだ。









今の攻撃が狙っていたのは首。









手加減など微塵も感じない、見事な一撃だった。









そのことから導き出される結論は一つだ。









Aは・・・・・・、いや、“コールド”は平助を殺そうとしている。

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