memento mori

ずっと見てたよ : S.Sakamoto ページ14

(マユリカ 阪本)











your side









「煩雑？」


「え？」


「なんて？」


「観客！」


「ああ……笑」



なんでそう聞こえんねん。



どういう聞き間違い？と、ケラケラ横で笑う友達を連れ、今日はよしもと漫才劇場にやって来ました。

大学の疲れは笑ってとるべし。師匠が言ってた。



「師匠て……誰？」


「Twitterのお友達さん」


「ああ、お笑いの？」


「そう〜！ほんますごいんよ。劇場通算200回……」


「すっげぇ！」



嘘か誠か……顎に手を置きながら呟くと、「嘘やな」とサッパリして友人は言う。


そんな切り裂くように言うなよ〜夢ないなあ。



「なんの公演行こっか？」


「え？」


「いや、なんの公演行こうかって」


「チケット取ってないん？」


「劇場の前でいつも手売りしてるから……」


「ふざけんなよお前」



手売りしてなかったらここまで来た意味ないやんけ！わざわざ講習トバしてんぞ！と肩を掴んで容赦なくグワグワと揺らす。



「大丈夫大丈夫、大体おるから……」


「大体で来んなよいい大人が！！」



トバしたのは公演あってもなくてもあかんやろ、と笑うとそこちゃわボケ！と頭を軽く叩かれた。


あれ？漫才してる？



「ほら、誰の買おっかね」



誰がいい？と手を伸ばしながら友人に聞く。もう自分の意見聞いてもらわれへんのは知ってるから、はよお前選べよ、とあしらわれた。



「あ？バレた？」


「お前の好みは………………わかった、あの人」


「おーよう分かったな」



おま、出汁にしたな……と友人は睨んでくる。


いやまあ、話しかけずらいから着いてきてもらおうと思ったけどさぁ、と照れ照れしながら友人にもたれ掛かる。



「ウジウジせずに行けよ。芸人も買って欲しくて手売りしてんねやろ。あんなんエンタメやねんから行ったった方が本人のために……」


「あーもううるせ！まじでうるせ！理詰めすんなよ腹立つわ」



わかったわかった、行ってくるわ、と友人から離れ、前に出た。

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