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目を覚ますと横になっていた。
頭がガンガンと何かに打ち付けられるように痛む。
「あら。起きた?ばく、ごうさんね、熱あったわよ。38度9分。なんで体育なんか受けられたのか不思議に思うほどだわ。」
保健室の先生は去年来たばかりの若い新任の先生だ。
欧米人のリアクションのように、手を顔の横で上下させる。
『何時ですか?』
「まだ6限の途中よ」
6時間目は確か国語だったかなぁ。
なんて思いながら体を起こすと先生がそれを止めた。
「まだ安静にしていなさい。もう少しで親御さん迎えに来るから」
思わず勢いよく顔を上げる。
脳が揺れ、またズクンと痛みを訴えてきた。
『い、いいです。一人で帰れます。やっぱり大丈夫だと連絡してください』
「え?でももう30分も前だし……」
先生がそういった瞬間、とどめを刺すように保健室のドアが大きな音を立てて開いた。
パパは息こそ切らしてなかったものの、ヒーローコスチュームに上着を羽織っただけの格好で現れた。
「爆豪Aの父です」
「はい、今日はそのまま早退ですね」
「はい」
「荷物がこちらに」
『だ、大丈夫。A一人で帰れる』
「…………Aちゃん、せっかくお父さんが来てくれたのに」
ミッション失敗だ。
なんでこうも上手くいかないの。
『帰れる。パ……お父さんは仕事戻っていいよ』
「風邪っぴきが何言ってんだ。帰るぞ」
パパはランドセルを持つともう片方の手で私を抱えあげて廊下に出た。
ふわっと、熱を出した時特有の浮遊感に襲われ、思わずしがみつく。
しかし、すぐに離した。
『ねぇやだ。ちゃんと一人で帰るから』
泣きそうになりながらそう言うと、しかめっ面をしたパパがこっちを向いた。
「せっかく抜けてきてやったんだからワガママ言うな」
『っ、じゃあ来なければよかったじゃん!!』
叫べば、また体温が上がった気がした。
少し前を歩いていた六年生の先生が振り返る。
「落ち着け。暴れんな」
『う''ーー……』
「唸るな」
『らって……』
もっとたくさん文句を言わなきゃいけないのに、口が上手くまわらない。
もう限界だった。
こて、と頭が力なくパパの肩にぶつかる。
『吐ぎぞう…………』
「は!?」
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ほしいか(プロフ) - @!さん» 長い間読んでいただけてるんですね、ありがとうございます!(T▽T)ゆっくり更新にはなりますがこれからもよろしくお願い致しますm(__)m (2021年5月4日 22時) (レス) id: a6bcddeca8 (このIDを非表示/違反報告)
@! - 最高です!!!結構初期から観させてもらっているのですが反抗期、勝己パパと娘の関係がどうなっていくのか楽しみです!体調などには気をつけて更新頑張ってください!応援してます!!! (2021年4月17日 17時) (レス) id: b6d2dcf77b (このIDを非表示/違反報告)
ほしいか(プロフ) - 啞連「♀」さん» ありがとうございます〜っ!はい!頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!(o^^o) (2021年2月5日 15時) (レス) id: a6bcddeca8 (このIDを非表示/違反報告)
啞連「♀」 - 勝己パパ最高です!更新頑張ってください! (2021年2月3日 17時) (レス) id: 4baf8bf284 (このIDを非表示/違反報告)
ほしいか(プロフ) - 碧鞠さん» コメントありがとうございます(o^^o)こちらこそ素敵なコメント頂けて感無量です(T▽T)少しずつの更新になってしまいますが、これからもよろしくお願いします! (2021年1月1日 18時) (レス) id: 7722cd4db4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほしいか | 作成日時:2020年10月20日 19時