【爆豪勝己】俺の娘は世界一

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家に帰ってからはできるだけいつも通りにと努めた。

早くあんなことは忘れてしまえばいい。
日常の記憶の中に埋もれてしまえばいい。

もう一生、こいつには恐怖も痛みも、一切感じないでいて欲しい。

ベッドに眠るAの肩まで布団をかけ直して、そんなことを思う。

今日Aを攫ったのは、俺に恨みを持つ連中だった。
日中は、Aをよくひとりにしてしまう。
もしこんな事が続くなら、


もういっそ＿＿＿＿＿＿


「ごめんな」


頭を撫でながらそう呟くと、眠っていたはずのAがうっすら目を開けた。


まずい、起こした。


もう一度寝かせようと腹の上に手を乗せると、Aがぽつりと言った。


『なんで謝るの……？』


聞こえていたのか、


『何か悪いことしたの？』


流石にこんなこと言う訳にもいかないと思い、「なんでもねぇよ」と言って、赤くなってしまっている目元を親指で撫でる。

いくらか目が覚めてしまったらしいAは、パッと目を見開くとペラペラ喋りだした。


『あのね、A間違えてかけちゃってね。』


何の話だ


「でもパパが来たの。本当に何番でも来てくれるんだね」


掴みどころのない話だと首を傾げると、Aがゆっくり起き上がった。
包帯の巻かれた手が俺の顔に伸びる。

小さく温かい手が顔を覆うと、ちゅ、と小さい音がしてAの口が頬に当たる。



『パパはAのヒーローなんだね。ありがとう』



不覚にも、泣きそうになってしまった。

なんで俺に育てられて、こんな出来た娘になるんだよ。




Aは思い出したように眠りにつき、すうすうと寝息を立て始めた。
その頬にふにふにと指を沈める。



ああ。俺はヒーローだ。

お前をずっと守るヒーローでいてやるよ。



愛しい子の頬に、キスを落とした。



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※※※
公衆電話の緊急のかけ方は電話機ごとに二通りあるらしいです。
少し昔のものだと赤いボタンを押してから番号を押さなくてはならないそうです。
最近のものはAちゃんがやったように受話器を取って番号を入れるだけでかかります。

118番は海上保安庁にかかるのですが、
「海の上での110番」の時に使う番号だそうです。

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『パパのお仕事の日』めちゃくちゃ長くなってしまいました。
ということでこちらの続編の方もよろしくお願い致します！

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