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『パパー！』
頭にペンギンの帽子を被ったAが、駆け足で戻ってきた。
ショーは十分ほど前に終わり、客席には俺ぐらいしか残っていなかった。
「その帽子どうしたんだよ」
『もらったの！ご褒美！』
満面の笑みで俺を見上げているAを、ひょいっと抱え上げる。
『似合う！？』
「おお、似合ってんな」
そのまま会場を後にしようとすると、Aがそれを制した。
『待って！オットくんと写真撮る！』
「オットくん？」
『え、パパショー見てた！？出てきたじゃん！』
「必要ないことは覚えねぇ主義なんだよ」
『セイウチのオットくんだよ！！』
「その名前でオットセイじゃねぇんかよ」
『何言ってんの？オットくんはオットくんじゃん』
「写真なんか撮れねぇぞ」
『後でパパと行ったら撮ってくれるってお姉さん言ってたもん』
「どこ行きゃいいんだ」
『ステージの横！！』
＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
帰る頃にはAは疲れきっていた。
流石にはしゃぎすぎたらしい。
左腕でウトウトしだしたAを抱えあげれば、数分もしないうちに寝息を立て始めた。
右腕には、袋に入り切っていない大きなイルカのぬいぐるみ。
スマホを開けば、何十枚もの今日の写真。
ナマコを触って泣きそうになっているA。
俺が買ってやったイルカのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめるA。
ペンギンにガラスの外からタッチしようとしているA。
それに、セイウチだかオットセイだかとのツーショット。
いや、これは俺が写っているからスリーショットか。
写真の中の自分は驚くほど穏やかに笑っていた。
見ていられなくてスマホを閉じる。
俺の肩に体を預けるAを両手に抱え直す。
顔にかかった髪を払い、頬を撫でた。
次に休みが被るのはいつになるだろうか。
その時にはもう二人で出掛けたいなんて言わないんじゃないだろうか。
Aの頬を横に引っ張る。
嫌がるように顔を顰めるのを見て、少し笑ってしまう。
たとえそんな日が来たとしても、
それでもどこかへ連れ出してやっから覚悟しとけ。
心の中でそう呟いてもう一度頬を撫でた。
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ほしいか(プロフ) - さうさん» ほんとですかっ！私の行ったことある所と同じかもしれません……笑コメントありがとうございます！ (2021年1月1日 16時) (
レス) id: 7722cd4db4 (このIDを非表示/違反報告)
さう(プロフ) - めっちゃ癒されました！登場した水族館知ってる気がする… (2020年12月13日 13時) (レス) id: 1a87c21f54 (このIDを非表示/違反報告)
ほしいか(プロフ) - ママの言うこと聞きなさい！さん» わぁぁ嬉しいです！ありがとうございます！(o^^o)続編の方もよろしくお願いいたしますm(__)m (2020年10月20日 20時) (レス) id: 7722cd4db4 (このIDを非表示/違反報告)
ママの言うこと聞きなさい！ - すごすぎて発狂してしまいました。応援しています (2020年10月18日 14時) (レス) id: e7989bc3c2 (このIDを非表示/違反報告)
ほしいか(プロフ) - 黒白の猫さん» 面白かったです！？どこでしょう……。コメントありがとうございます！ (2020年10月16日 20時) (レス) id: 7722cd4db4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほしいか
| 作成日時：2020年7月28日 19時
