「君は悪くない」

7.番組プロデューサー ページ8

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「……っ、！？」

 大通りから離れた場所でミンジュン兄さんに納骨堂から出ましたと電話をしたところで、突然後ろから腕を捕まれる。


「ナナさん、ですよね」

 チンピラ？ それとも宗教勧誘？ でも、この強さなら振りほどいて逃げれるはず。そんなことを考えているとそう呼ばれ、ひゅっと心臓が冷える。ナナ？ 今、この人は私のことを「ナナ」と呼んだのか。どうして。


「……あはは、人違いじゃないでしょうか？」

 振り返らず、笑いながら言った。平然を装って。


「いや、貴方はナナです。N͜͡umberの、元日本人マンネの。間違いない」

「違います。ナナがこんな所に居るわけないでしょう？」

「そうですね。でも、貴方はナナです」

「……だったら何です？ 」


 否定し続けても埒が明かないなと思ったから、はあ、とため息をついてから振り向いた。そこには、スーツの男性。想像していた見た目と違ったので少し驚く。


「ああ、やっぱりナナだ。眼鏡とマスクをしてても分かるもんですね」

「どうして俺だって分かったんですか？」

「そりゃ、オーラが違いますから。スタイルからもう違います」

「……あの。要件は？ 俺、急いでるんですけど」

 
 悪意のなさそうな、純粋な好意の視線。どことなく噛み合わない会話。どういう状況？ たじろぎながら、そう言った。嘘はついていない。急いでいるのは本当だ。そろそろミンジュン兄さんが迎えに来るのだから。



「すみません。怪しいものではないんです。手短にお話ししますね」

「はあ……そうして頂けると助かります……」


 怪しいものではないって言う人ほどめちゃくちゃ怪しいよな、と思いつつ頷く。


「まず、私はこういう者で……」

「ご丁寧にありがとうございます……？」


 渡された名刺を見る。「番組プロデューサー、キム・シニョン」。どこか見覚えがある名前だった。でも、上手く思い出せない。出たことのある番組のプロデューサーなら覚えているはずだ。


「ナナさん、『BOYS PLANET』が放送されるのは知ってますか？」

「ああ……『Girls Planet 999』の後継番組ですよね、確か。あまり詳しくないですけど……」


(……あ。この人『I-LAND』と『Girls Planet 999』の！)

 そう言ってから思い出した。『Girls Planet 999』の方は見てないけど、『I-LAND』の方は当時見た。中々エグいグループオーディション番組だな……と兄さん達とヨンジュとで見ながら話してたのを思い出す。





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