「君は悪くない」

44.母性 ページ45

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 ボーカルの団体練習が終わり、ダンスの団体練習が始まった。グヨン先生がサビの振りを一通りやって見せてから、5分覚える時間を貰って。Kグループより一日遅れている分、Gグループはスターの数に関係なく助け合う姿が見られてなんだか嬉しくなった。


「ナナ兄さん、振り覚えるの早いですね」

「そうかな？」


 ブライアンに言われ、小さく笑う。

 私はジャンハオ兄さんがリッキーとオリー、ブライアンを少し心配そうに見ていたから、「俺もう大丈夫なのでちょっと様子見てきますね」と三人の元に行っていた。

 そこで初めてマシューと会話して、マシューもハンビンから私のことを聞いたらしく(昨日の夜のことなのにもう知っているなんて大分仲良しなんだなと思った)、団体練習が終わったらハンビンと一緒に練習しようなんて笑い合ったりもした。
 近くで見て改めて思ったけれど、マシューは笑顔は本当にかわいい。幸せオーラが感じられるっていうか。とにかく昔から「笑顔に影を感じるときがある」なんて言われている私とは大違いだ。



「確かに昔は急に振りが変わって直ぐに覚えてやらなきゃいけない時とかあったから慣れてるのかも。……あ、そこはそうじゃなくてこうだよ」

「わ！ ありがとうございます。こう……ですか？」

「そうそう。タン、タタンって感じ。あ、上手い上手い。ブライアンはスタイルがいいから映えるね」


 綺麗に教えたステップを踏んだブライアンを見て、思わず褒めた。リッキーもオリーも身長が高くてスタイルがいいけれど、ブライアンも顔がすごく小さいのに脚がめちゃくちゃ長いから、可愛い顔をして等身がおかしなことになっている。


「ナナ兄さんだってスタイルいいじゃないですか」

「ブライアンの方がずっといいよ」


 照れながらも「ありがとうございます」と言うブライアンが可愛くて、頭を撫でたい衝動に駆られる。
 ブライアン以外もそうなのだけど、年下の子達は本当にみんな良い子で、つい撫でたくなってしまう。母性に近いものなんだろうけど、私から触ったら普通にセクハラだからぐっと耐えている。韓国の人ってやけに年下の子を撫でたり甘やかしたりするよな……と思っていたけれど、今やっとその心理が分かったかもしれない。


「とにかく、ブライアンはスタイルがいいから堂々とやれば誰よりもかっこいいよ」

 咳払いをしてそう言えば、ブライアンはまた照れ笑いをするから、また衝動に駆られてしまった。





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