「君は悪くない」

41.歴 ページ42

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「あの、俺、ナナさんとずっと話したくて……！」

 翌日。団体練習の日。既に振りを練習しているKグループの面々を見て、あんな振り付けなんだ、何度も見た訳ではないだろうにもう覚えてるなんて凄いな、なんてぼんやりと思っていたら、突然前の列にいた人に話しかけられた。
 少し驚きながらも顔を向けると、目の前には日本人でオールスターのケイタさんがいた。

 ケイタさんはCiipherというグループのメンバーで、元YG Japanの練習生だ。『YG 宝石箱』というTREASUREさんを産んだオーディション番組にも出ていて、日本人チームで結構最後の方まで残っていたから印象深かった。



「あ、ケイタさん。……ケイタさんって同い年ですよね、タメで大丈夫ですよ」

 こういったやりとりはもう何回目かだし、多分これからも何度もしそうだから、いっそ「気にせず気軽に話してください」と名札に書いてしまいたい。流石にしないけれど。
 そんなことを思いながらケイタさんに笑うと、ケイタさんは瞬きをした後に嬉しそうな顔を見せた。


「えっ、じゃあ……ナナで！ よろしく」

「うん。よろしくね、ケイタ」


 そう会話しながら、日本人同士が韓国語で話しているのが何だか面白いなと思ってしまった。ケイタは練習生歴が長いからか、凄く流暢な韓国語を話す。


「俺、オールラウンダーとして実力には自信あったんだけど……昨日のナナのパフォーマンス見て、もっと頑張らないとなって思って。だからナナとは絶対仲良くなりたいって思ってたんだ。ナナの近くに居たらもっと成長出来る気がして」

「はは……そうかな。でもありがとう。俺こそケイタのパフォーマンス凄いなって思ったよ。かっこよかった。スキルはもちろんだけど、ステージを楽しんでるのが見ていて凄く伝わった」


 昨日のパフォーマンスで思ったけれど、ケイタのラップやダンスは型にはまりすぎないYGの感じが残っていて、重さと余裕を感じられて凄くかっこいい。身長は高い方じゃないのに、そういった重さと余裕さがそれを気にしなくさせている。
 やっぱり歴から出るものなのかな、そう口にしたらケイタは少し恥ずかしそうにしながら「逆にナナは練習生期間どれくらいなの？」と聞いてきた。



「練習生期間？ えーっと、まず空白期間だったこの2年と、N͜͡umberだった2年2ヶ月を抜いたら……純粋な練習生期間は大体10ヶ月だね」

「10ヶ月！？」


 指で数えながらそう言うと、ケイタが目を丸くした。





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