「君は悪くない」

30.先生 ページ31

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「ナナ、久しぶりだね」

 ついに自分の番が来て。先生達の前に立つと、ヨンジュン先生にまずそう言われた。


「ヨ、ヨンジュン先生、ご無沙汰しています……」


 思わず目線を泳がせてしまう。

 N͜͡umberの曲の振付はヨンジュン先生が私達と一緒に振付を考えて作って下さったものがほとんどで、N͜͡umberがあんなにも売れたのはヨンジュン先生のおかげでもある。無名事務所の、しかもデビュー前のアイドルグループだったというのに、曲を聴いて、私達メンバーと対面して、「君達は売れると思う」と何度も試行錯誤して最高の振付を考えてくださったヨンジュン先生には一生頭が上がらないと思う。

 そんな人と、こうやって対面するなんて思ってもなかった。みんなも「N͜͡umberの曲はヨンジュン先生振付が多かったはず……」とひそひそ話していた。


「本当に本当に、ご無沙汰だよ」

「本当に本当に申し訳ないです……。ソクフン先生も……」


 ソクフン先生の方にも視線を移して言う。そう、私にはヨンジュン先生だけじゃなくソクフン先生も面識があったし、謝らなければいけない事があった。



「良かった、もう忘れられたかと思ったよ！」

「ナナとソクフン先生は何か関係が？」


 ソルジ先生が首を傾げ、ソクフン先生は笑う。


「ナナとは一緒に番組をやってたんだよ。ほら、『音鳴る場所』」

「ああ！ 全国の楽器屋さんや音楽学校を巡るやつですね。懐かしい〜。ナナがソクフン先生やゲストのアドリブに驚きながらも対応するのが定番でしたよね」

「そうそう。驚きながらもナナはちゃんと対応しちゃうから、最終的にゲストはいかにナナの予想外なことをするかみたいな感じになってたね」


 ソクフン先生とソルジ先生が楽しそうに話しているのを、私はなんとも言えない気持ちで見ていた。

 『音鳴る場所』。ソクフン先生と私がゲストと共に全国の楽器がある場所に訪れ、紹介やインタビューなどをした上で最終的にそこにある楽器でパフォーマンスをする、というバラエティ番組だ。
 デビュー1年の日本人アイドルと、多くの場で活躍してきたベテラン歌手の凸凹コンビがウケたのか、そこそこ視聴率もあった番組だった。しかし、私が降板したことがきっかけで番組自体が終了してしまったのだ。




(というか……なんでよりによってヨンジュン先生とソクフン先生がこの番組に……？)

 この二人が出たら完全に『PRODUCE 101』では？ そう思った。





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