25.休憩時間 ページ26
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私が登場し練習生が揃った後。豪華すぎるマスター陣が登場し、スターレベルテストが始まった。
スターレベルテストで最終的に星が多かったチームの方に次のテストの曲を一日早く公開するというベネフィットがあるらしく、早くもKチームとGチームの対立の空気をかなり肌に感じた。KチームとGチーム分けて座ってたの、バチバチにしたかったからなんだ……と盛り上がるみんなを、私は若干遠い目で見ていた。サバイバル番組に出てるのに何言ってんだって感じではあるけれど、こういう空気はちょっと苦手だ。
男の人ってやっぱりこういうの好きなのかなと考えた所で、めちゃくちゃ苦手なそうなシアン兄さんを思い出して決めつけは良くないと反省する。ミンジュン兄さんとヨンジュは大好きだろうけれど。
「俺、ちょっとお手洗いに行ってきます……」
隣のジャンハオ兄さんにそう小さく言って、すぐに立ち上がる。
何チームかの評価が終わり、今は休憩時間。直前のアメリカチーム……特にオールスターだったジェイさんの歌声とスター性はかなり印象的で余韻に浸っていたかったけれど、休憩時間になった瞬間、私は今すぐこの場から離れなければという気持ちでいっぱいになった。
「俺も行こうかな」
「すみません、ちょっと急ぎなので先行っていいですか……」
「ナナ、お腹痛いの?」
「いや、そういう訳では……ないですけど……」
どちらかというと頭が痛いです。心配するジャンハオ兄さんに笑って誤魔化しながらそう思う。
「体調は全然大丈夫ですよ、本当に。漏れそう? なだけです」
「ならいいけど……あ、」
ジャンハオ兄さんが私の顔から視線を外し、私の後ろを見る。私も自分の後ろに人が立っているのを感じた。物凄く嫌な予感がする。
「フェテクさん、こんにちは。どうしたんですか?」
ジャンハオ兄さんがちょっと緊張した顔でそう言った。
(だ、だよねーーーーー)
私の後ろにいるのはフイ先輩らしい。そんな気はしていたし、フイ先輩に捕まる前にトイレか何処かで休憩時間をやり過ごそうとしていたのだ。
「こんにちは。ごめんね、いきなり。ナナに用があって。……ナナ、ちょっといい?」
やっと振り返ると、フイ先輩が笑顔で立っていた。逆に怖い。
「俺、ちょっとトイレに行くのでその後でいいですか……」
「ついてくから気にしないで。ね?」
「ハ、ハイ……」
笑顔の圧に、結局私は頷くしかなかった。
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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» たくさんある作品の中でそう言って貰って凄く嬉しいです! 更新頑張ります、本当にありがとうございます^^ (2023年2月27日 18時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました!!ボイプラ関連で1番大好きです🫶更新楽しみにしています頑張ってください! (2023年2月25日 23時) (レス) id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - すみぃさん» ありがとうございます。拙い文章ですがそう言って頂けると励みになります。更新頑張ります! (2023年2月14日 6時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - スリーズペンさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです! ぜひ番組と一緒に楽しんで頂けたら幸いです。 (2023年2月14日 6時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 楽しみながら読ませていただいてます。読んでいてとても面白いです!頑張ってください!! (2023年2月11日 23時) (レス) id: 0330ee01bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年2月6日 21時