シマエナガは夢を見る

アナタなら ページ10

『あの...さっきは ごめんなさい...
滝沢くん...だよね？？』

滝「いや いいんだ
何があったかは 聞かない...ただ
覚えててくれて嬉しいよ」

「滝沢君はね、あなたが居なくなった後
あなたの代わりに 皆に
歌を歌いに来てくれていたのよ」

『そう だったんだ...』

「さぁ いらっしゃい
髪を綺麗に整えなくっちゃ」

滝「僕は 今日は帰ります」

「そう わかったわ
いつもありがとうね♪」


軽く会釈をした彼は
そのまま去って行った




その後私は
切りっぱなしで不揃いな髪を整えてもらい
お母さんにこれまでの事を
拙い言葉で説明した

涙は溢れるし 体も震えるけれど
この先同じような事が
他の子達に起きませんように と想いを込めて


聞きづらかっただろう言葉達を
1つ1つ しっかりと受け止めるように
お母さんは頷きながら
時折 私の背中を擦りながら聴いてくれた

そして最後には また
ぎゅっと抱き締めてくれた

「あとは任せなさい 帰らなくていい
ここに居なさい」そう言って




『滝沢くん また来てくれるかな...』


ふと過ぎった あの悲しげな笑顔

彼なら 大丈夫な気がする と
根拠の無い自信が
心の何処かで 彼との再会を望んでいた




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