シマエナガは夢を見る

小さな歌姫 ページ6

《滝沢side》


昔から よく顔を出す場所がある


極貧生活だった幼少期とか
反抗期で家出ばかりしてた小学校高学年の時
親に内緒でよく来ていた児童養護施設だ


ここの社長とは気が合って
いろんな相談をさせてもらったりしていた


それから この施設に通う理由はもう1つ


小さなお姫様に会うためだ




社長との話が終わって
フラフラと施設内を見学していると
廊下から 教室を眺めながら微笑んでいる
施設長 社長の奥さんを見つけた


その視線の先には

上手にピアノを奏でながら
歌を歌う 小さな女の子


まるでお人形のような容姿はもちろんだが

それよりも

彼女から生み出される歌声に
心を鷲掴みにされてしまった


「あの子 上手でしょ？」


そう呟く施設長の顔は
紛れも無い 母の顔だった



滝「はい 綺麗な声ですね」

「歌が大好きでね？
いつもあーやって他の子達に歌っているの♪
きっと神様が あの子にくれたプレゼントね」



眩しいほどの笑顔で歌う姿と
その時の歌声が忘れられなくて
気付けば その子に会うために
暇さえあれば通うようになっていた




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