シマエナガは夢を見る

思いがけない言葉 ページ13

《滝沢side》


俺が聴いているのに気付いたのか
目が合ったかと思うと
鍵盤にカバーを掛けて
ゆっくりこちらへ歩いてくる


俺は流れた涙を急いで拭った


『お久し ぶりです』

滝「あぁ 久しぶり
歌 俺達の覚えてくれたんだ」

『あぁ すみません！下手ですよねっ』

滝「いやいや 上手すぎて
自分の歌なのに いい曲だなぁ〜って思った笑」


照れて 前髪を触りながら
俯いたまま笑うnora


滝「て いうかさ 敬語じゃなくていいよ
前もそうだったし...て...
あの時は noraが小さかったからか笑」

『いや でも...うん
敬語やめま...じゃなくて やめる笑』

滝「うん それがいい
えっと...大丈夫？あ〜いやごめん
聞かない方がいいか」

『あ えと 大丈夫...というか
その事で少し 滝沢くんに相談があって』



そう言って大きく息を吐いた後
真っ直ぐに俺の方を見つめて

彼女は思いがけない一言を発した




『私

ジャニーズ事務所に入りたい』




それは 彼女が12歳の秋


茜色の空が やけに鮮やかで
眩しくて


その真剣な眼差しが

目に焼き付いて離れなかった




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