音楽の天才と運命を縛られた少女 Part2

クロエの家族 ページ3

『邪魔者はあの子だけ……』

貴「…へ？」

なんの声…？

私は、辺りを見渡す。

ミ「邪魔者…」

すると、いきなりミシェルがテーブルに向かっていく。

貴「これ…家族の絵…」

…あ……

もしかして、邪魔者…って……

ミ「A、ハサミ」

貴「え、あ、うん…」

ハサミを取り出して、ミシェルに渡す。

ミ「……」

ジョキッ、ジョキッ

貴「あ…っ」

ミシェルは、切り取った部分を持つ。

ミ「…こういう事……なんだろうな」

「家族の絵」が、「クロエのいない絵」になった。

貴「クロエを憎む理由なんて、あるのかな…」

ミ「A、行くよ」

貴「あ、うん」



ク「あ、お帰りっ！」

貴「あ、た、ただいま……」

さっきの事があってからか、私は言葉を詰まらせ、クロエから視線を逸らす。

ク「どうしたの？」

ミ「…ん」

ミシェルが、絵を出す。



クロエだけの、「絵」

貴「ミシェル…っ！」

ク「あ…」

クロエは、少し暗い顔をするも、頭をあげて、ニコ、と笑った。

ク「大丈夫」

私には、無理して笑っているとしか思えなかった。

ク「画用紙見つけたら、持ってきて」

貴「え……？うん」

ミ「分かった」

貴「あ…。はい、クロエ」

私は、鍵盤を取り出して、クロエに渡す。

ク「…ありがとう。これで弾けるね」

私は、頷いて、ニコ、と笑った。

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