63−口を割らず耐える君 ページ13
・
ドクンッ、と心臓が大きく跳ねた気がした。全身に鳥肌が立ったような気もした。
エースの頭の中でグルグルとサボの言葉が回っていた。口を割ってない？あいつが？と頭が追いついていないのを感じる。
｢ど、どういう事だよ…！！口を割ってなねェって！！」
｢知らねェよ！…でも、ポルシェーミの部下達は、まだ俺達を探してた！！アイツが口を割ってない証拠だろ！！？」
サボの言葉にキュッと唇を噛むエース。
─友達になろう！！
Aが笑顔でそう言っている姿が、エースの頭の中に浮かんだ。
(そんなに、なりたいのかよ。
どこからか湧き上がるその怒りに、エースは鉄パイプを掴んで、木の上から素早く地面に降りた。
サボもエースがAを見捨てないと、分かっていたのか彼もいつの間にやら鉄パイプを握り締めていた。
互いに無言で、ポルシェーミ達のいる場所へ走って行ったのだった。
＊ ＊ ＊ ＊
グレイ・ターミナルの“海賊の入り江”では、一隻の大きな海賊船が停まっていた。
｢遅ェなァ…オイ…。今日の責任者は誰だ？」
｢ポルシェーミの野郎です！ブルージャム船長！」
ブルージャム船長。そう、今不機嫌なオーラを纏っている彼こそが、ポルシェーミも恐れているブルージャムなのだ。
｢もう日が暮れるぞ…いくら何でも換金は終わってんだろ…！あの野郎、金持って逃げたってわけじゃあるめェなァ…」
｢いやァまさか…」
ポルシェーミが金を持って来るのが遅くて、相当苛立っているのだろう。
彼らが待つポルシェーミが、今子供相手に手こずっている事を知らずに。
＊ ＊ ＊ ＊
｢いい加減吐きやがれェ！」
そう叫びながら、また一発と殴るポルシェーミ。その度に、天井に吊るされるAは、衝撃によりブラブラと揺れる。
ポルシェーミは怒りと焦りの色が見えており、Aに至っては、もう叫ぶ事すらできない状態だった。
｢ポ、ポルシェーミさん！もう無駄ですよ！コイツ、叫ぶ気力も失ってます！たぶん、もう何も喋らねェし…正直、
包帯を巻いている部下。彼は案外良い奴なのかもしれない。良い奴、と言うより人の心がある。と言った方が正しいのだろう。
Aはもうぐったりとしていて、口からは嗚咽しか聞こえない。ただただ涙を流していたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
僕達はエンジェル(プロフ) - 瑠璃さん» 瑠璃様、ありがとうございます！！私、盃兄妹編はすごく書きたかったんですよ！！あ、絶対に言うと思います笑 確実に過保護になりますね！更新頑張ります！どうか今後とも、よろしくお願いします！ (2020年1月12日 17時) (
レス) id: 262d2e4054 (このIDを非表示/違反報告)
僕達はエンジェル(プロフ) - ミリアさん» ミリア様、ありがとうございます！！やっと続編に行くことができました！盃兄妹編、楽しんでいただけるよう頑張ります！不定期更新ですが、どうぞよろしくお願いします！ (2020年1月12日 17時) (レス) id: 262d2e4054 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 続編おめでとうございます！！エースと夢主が会い益々続きや展開が楽しみ！！エースとサボが兄妹になったら夢主の恋人になるなら自分達を倒せと言いそうですね！あるいは無意識に惚れてて嫉妬で追い払うか(エースが)これからも頑張ってください！ (2020年1月12日 14時) (レス) id: cd04157892 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 続編おめでとうございます。盃兄弟達に遂に絡み凄く続きが楽しみです。今年も無理せず自分のペースで更新頑張って下さい。 (2020年1月12日 13時) (レス) id: 8276d311bf (このIDを非表示/違反報告)
僕達はエンジェル(プロフ) - 紅藍泉(サブ垢)さん» 返信、遅くなりすみません！！前回からのコメント、お祝いの言葉をありがとうございます！！本当に励みになります！更新頑張ります！！今後とも、この作品をよろしくお願いします！！ (2020年1月12日 12時) (レス) id: 262d2e4054 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：僕達はエンジェル | 作成日時：2020年1月8日 20時
