17−美味かった ページ17
＊
「言っとくがそんな条件ならこっちから願い下げだ。俺にはやりてェ事がある。お前に逃がして貰わなくても、俺は自力で生き延びる！一ヶ月ここにつったってりゃ助けてやると、あのバカ息子が約束してくれた。何がなんでも生き延びて、俺は俺のやりたい事を成し遂げる！」
目をギラギラさせてそう言う。彼の中にある何かが轟々と燃えているような、そんな気がした。Aは少し間を置いて「そっか」と応えた。
「私なら一週間で餓死する自信があるね」
「俺とお前じゃ気力が違うんだ。もの好きな仲間探しなら他を当るんだな。俺は海賊になる気はさらさらねェ。」
「わかった！また来る！」
いやわかってないだろ、とゾロは思う。背を向けた彼女を見ていた。ふと、思い出したものがあった。「おい」とAに声をかけた。
「それ…とってくれねェか？」
ゾロの視線を辿った先にあるのは、踏み潰されたおにぎりだった。もう泥の塊になっているそれは、食べ物とは言い難い。Aはそれを手に取って見るが、いくら食い意地の張ってるAでも食べたいとは思えないものだった。
「これ食うのか？いくら腹が減っててもよ…」
「ガタガタぬかすな、黙って食わせろ。落ちてんの全部だ！」
「わかった」
Aがあ、と大きく開いたゾロの口に全て入れる。彼はそれを咀嚼するけど、口の中に泥と、なんとも言えない味が広がる。バリバリとおにぎりにあってはならない咀嚼音。ゾロは吐き出しもせず、不味いなんて事も一言も口にせず、嚥下した。涙目になりながらも、脂汗を滲ませながらも。
「だから言ったろ？死にてェのか？」
ゾロは嘔吐きながらも決して戻すことなく、息を吐いた。
「う、ぐ、ゴブ…あ、あの、ガキに…伝えてくれねェか…！」
「何を？」
「『美味かった、ご馳走様でした。』ってよ」
「はは！わかった。」
Aは上機嫌に塀を飛び越えて、先に町に戻ったコビー達の元へ向かった。コビーはAの姿を見ると駆け寄り、散々危ないと言ったものの、ゾロを初めて見た時よりも言わなかった。きっと彼もここの海軍の在り方に疑念を抱いたのだろう。
「あ！お姉ちゃん！」
「お！お前怪我はねェか？」
「うん！さっきはありがとう！私、リカっていうの！」
「私はAだ！よろしくな」
リカもAの姿を見てぱあっと笑う。Aは彼女の頭を撫でながら、ゾロから預かった言伝を彼女に伝えた。
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星 - 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです！続きがとても気になります！更新楽しみにしています！ (2023年1月8日 1時) (
レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - とても面白いと思いました。更新されるのを待ってます。(o^^o) (2022年8月21日 5時) (レス) @page23 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
僕達はエンジェル(プロフ) - 紅藍泉。さん» コメントありがとうございます！返信が遅れてしまい、申し訳ありません。わわ、探して下さりありがとうございます！少しでも多く更新できるよう、頑張ります！励みになります！本当にありがとうございます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 96929d0a4c (このIDを非表示/違反報告)
紅藍泉。(プロフ) - 続編いってらしたんですね！スマホ変えたら探すのに苦労しましてみれなかったのですよ泣。更新頑張ってくださいねっ！これまでと変わらず応援しております！ (2021年2月14日 3時) (レス) id: 04165fdadd (このIDを非表示/違反報告)
僕達はエンジェル(プロフ) - らんかさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ございません！コメントありがとうございます！！少しずつ少しずつ、書き溜めていたんですが、思うような文が書けておらず、消してしまいました。時間がかかると思いますが、お待ちいただけると嬉しいです！励みになります！ (2021年1月2日 10時) (レス) id: d588c749f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：僕達はエンジェル | 作成日時：2020年9月6日 17時
