1−はじまり ページ1
・
｢とうとう行っちゃいましたね、村長。｣
｢村のハジじゃ！海賊になろうなんぞ！！｣
フーシャ村の港。Aの乗るボートが、だんだんと小さくなって行く姿を見て、マキノが言った。村長は腕を組み、文句を垂れた。
不満そうに、少し呆れたように紡がれた言葉だったが、『寂しい』『心配』といった心情が、村長の顔に現れていた。
｢がははっ！村長も素直じゃないなあ！！｣
｢やかましい！！｣
村人が村長を揶揄う。それに村長は言い返した後、もう見えなくなったAの姿を追うように、海を見つめた。
少し、いや、とても憎たらしいほどに、海面は太陽の光を反射して、キラキラと光っていた。
｢ふふっ｣
マキノは海を見つめる村長を見て、笑い、彼女もまた海を見つめた。脳裏に彼女との思い出が、鮮明に流れてくる。
幼い頃からずっと一緒にいたA。男勝りで、どこか抜けていて、太陽のように笑って、とっても可愛いA。イキシア、ユリをボロボロになって連れてきたA。二人の兄ができたA。
小さかった彼女が、大きくなって、いつの間にか身長もそこまで変わらないくらいになっていた。
Aがいるだけで、賑やかだった酒場が今日から静かになる。
｢さみしくなるわ｣
目を伏せて笑うマキノ。少しだけ何かを思ったあと、｢行ってらっしゃい｣と海に向かって笑ったのだった。
＊＊＊
ぎーこ、ぎーこ、舟を漕ぐ音が波の音と共に海の上を走っている。Aは、目的地などは決めておらず自由気ままに、進んでいた。
風の吹くまま進んでいると、黒い影がすっとボートの下を通った。…と思うと、ザパアッと海の中から海王類現れた。
そいつは、あの日シャンクスの腕を食いちぎったヤツで。
｢出たか、近海の主！！…でも相手が悪かったな。10年鍛えた私の技を見ろ！｣
Aが立ち上がると、海王類が大きな口を開けて、彼女に向かって襲いかかる。彼女は恐怖に顔を歪めているのではないなと思うが、それは杞憂だった。
彼女は自信満々に笑っていて、少しだけ肩を回したあとにぐっと腕に力を込めた。
｢ゴムゴムの………
伸びた腕は、勢いよく海王類を殴り飛ばした。己より数十倍も大きな怪物を倒したのだ。
この10年の間で、Aは相当強くなったようだ。
｢思い知ったか！｣
ししし、と笑い彼女はまた舟を進める。仲間をまずは“10人”集めるために。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 393人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星 - 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです！続きがとても気になります！更新楽しみにしています！ (2023年1月8日 1時) (
レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - とても面白いと思いました。更新されるのを待ってます。(o^^o) (2022年8月21日 5時) (レス) @page23 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
僕達はエンジェル(プロフ) - 紅藍泉。さん» コメントありがとうございます！返信が遅れてしまい、申し訳ありません。わわ、探して下さりありがとうございます！少しでも多く更新できるよう、頑張ります！励みになります！本当にありがとうございます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 96929d0a4c (このIDを非表示/違反報告)
紅藍泉。(プロフ) - 続編いってらしたんですね！スマホ変えたら探すのに苦労しましてみれなかったのですよ泣。更新頑張ってくださいねっ！これまでと変わらず応援しております！ (2021年2月14日 3時) (レス) id: 04165fdadd (このIDを非表示/違反報告)
僕達はエンジェル(プロフ) - らんかさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ございません！コメントありがとうございます！！少しずつ少しずつ、書き溜めていたんですが、思うような文が書けておらず、消してしまいました。時間がかかると思いますが、お待ちいただけると嬉しいです！励みになります！ (2021年1月2日 10時) (レス) id: d588c749f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：僕達はエンジェル | 作成日時：2020年9月6日 17時
