7章 手配書 ページ42
「到着致しました。お疲れ様です。」
その声に意識を呼び戻され、倒れ込んだ上体を起こす。短い時間に感じられたが、太陽は南中をすぎ、西へと傾き輝いている。ゆっくり背から降りて、ありがとうと3人揃って礼をすると、彼女も小鳥に戻ってクルクルと頭上を飛び回る。そして、村の方へと飛び去って言った。
降りた場所は街のハズレのようだ。石の地面が敷かれた街への道を荷物を多く積んだ馬車が走っていく。
馬車の後ろを追うように歩いていく。そんなに経たないうちに、街の入口へたどり着く。
_猛者の街『マーセリン』
入口のアーチには無骨な字体でそう書かれていた。
「街の中に入る前に顔を隠しな。あれあったでしょ。貰ったローブ。有難く使わせて貰おうじゃないか。」
そう言われて異空間からローブを取り出し、装着する。裾は長く、膝まである。その上、左袖のロゴ以外は真っ黒なので、フードを被れば顔バレはしないが、完全に不審者だろう。
〈これにマスクにサングラスしたら、完全にアウトだな〉
そうは思いつつも、他に顔を隠す方法も無いので大人しくフードを被る。ステラもそれを確認すると街のゲートをくぐった。
街は活気があり、明るく輝いていた。否、普通の都市と比べると廃れているような気がしなくもないが、レント村の有様を見ればどの街も輝いて見える。
ただ、あまり安心できる街ではなかった。街ゆく人は武器を携え、所々から罵声が聞こえる。街の中心の巨大なドームからはとてつもない歓声が町中に響いた。
「さすが、傭兵の街だけあるねぇ…なんて言うか、力強い…?」
「…傭兵って、みんながみんなこんなんじゃないよね。」
グラスが路地裏を指さして言う。
〈あっち、見ない方がいいだろうな。〉
彼の顔からは血の気が抜けていた。きっと、見てはいけないものを見てしまったんだろう。
「依頼をすれば頼れる奴らだから安心しな。あんまりキョロキョロするんじゃないよ。…村長との面会は明日だし、今日は『ぎるど』とやらに行くとするかね。」
器用に尻尾でグラスの視界を遮り、アナザーを確認しながら前を進むステラ。ひたすらに地面を見つめて歩むグラス。
アナザーは、「アナザー」に周りの気配を確かめてもらいながらはぐれることの無いように追いかけた。
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桜とおもち(プロフ) - イベント参加ありがとうございますm(_ _)m 文章が凄い!! 語彙力めちゃめちゃありますね✨️ 尊敬です! (2022年9月4日 14時) (レス) @page1 id: acf700690e (このIDを非表示/違反報告)
ユッピー - イベントから来させていただきました。 おもしろい作品ですね。 右星失礼します。 出来たらイベント方にも、、、 お願いします! (2022年3月5日 13時) (レス) id: 6b09c899b4 (このIDを非表示/違反報告)
リール - シトラスさん» プレイさせて頂きました。長々しい描写やセリフを見事に簡潔に落とし込まれていてプレイしやすかったです!まさかのキラクサ、ノモギ、イトマキ草が出てきて驚きです(笑)わざわざありがとうございます。プレイしていて楽しかったです! (2021年12月29日 1時) (レス) id: 0b2220b92c (このIDを非表示/違反報告)
シトラス(プロフ) - こちらです。https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm23820?key=2f9881f8d2d7 限定公開のはずなので新着には上がりません。グラスと出会うところまで作りました。 (2021年12月28日 6時) (レス) id: 2edafec9c3 (このIDを非表示/違反報告)
リール - シトラスさん» まさかの操作パートまで…ぜひプレイさせて頂きたいです。 (2021年12月22日 0時) (レス) id: 0b2220b92c (このIDを非表示/違反報告)
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